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「準備しろ、開店だ」
ボンベロの言葉に、カナコは足早に入口の扉へと向かう。
ガシャン、と1つずつ扉が解錠されていく音を聞きながら、Aはスツールに腰掛けてカナコを見ていた。
そうして3つめの扉が解錠され、重苦しい扉が開いて姿を現したのはAもよく知る人物だった。
「いらっしゃいませ、ダイナーへようこそ」
「やぁ、カナコ。元気にして……」
『スキン……?』
出迎えたカナコの目の前で止まった客ーーースキンはカナコに話しかけようとしたが、聞こえた別の声にぐりんと首を動かした。
そして声の主がAだと気付くと、ぱっと顔を明るくして早足でAの元へと向かう。
「A、会いたかったよ!」
『ス、スキン…苦しいってばぁ』
スツールに座ったままのAをぎゅーっと抱きしめるスキンに、カナコはびっくりして固まっている。
「だって、久しぶりだろう?なかなか会えないから、こっちから捕まえに行こうと思ってたところだ」
『ちょっと仕事が忙しくて……ふふ、でもスキンが元気そうで良かった』
子供のように抱きつくスキンの背中を、Aはいさめるかのように優しく撫でる。
するとスキンはスッと身体を離して、今度はAの両頬に手を添えて、じいっと彼女の顔を見つめた。
「…ボンから聞いた。また発作が出たんだろ?あれほど、無理しないように言ったのに。Aが頑張り屋なのは知ってるけど、気を付けないといつか大変なことになるよ?」
『…ごめんなさい。でも……』
「うん、分かってる。仕事だから避けて通れない事もあるさ。けど…俺も、ボンも、Aの事が心配なんだ」
心底心配そうな顔をするスキンに頷くと、Aは自分の右手を頰に触れているスキンの手に重ねる。
『ありがとう、スキン。出来る限り気を付けるね』
その返答に満足したのか、スキンはにこっと笑うと再びAに抱きついた。
一部始終を見ていたカナコと目が合ったAは、困ったように笑っている。
「……スキン、お前は一体何をしに来たんだ」
いつのまにかAの後ろに立っていたボンベロは、Aに抱きつくスキンを見て眉間に皺を寄せた。
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ねこと(プロフ) - omoti_motimoticさん» 素敵なお言葉頂けてとても嬉しいです(*'ω'*)世界観やキャラクターはできるだけイメージを壊さないよう気を付けているつもりなので、そう言って頂けると活力になります!ちょっと停滞してしまってますが更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2020年7月7日 2時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
omoti_motimotic(プロフ) - ああもう素敵すぎます!!dinerの世界観やキャラクターが崩れることなくキュンキュンさせてくださって最高の作品をどうもありがとうございます、、!! (2020年7月5日 22時) (レス) id: 96016ea486 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - えいとちゃんさん» 応援ありがとうございます!また、お気遣いもありがとうございます(*'▽'*)更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです♪ (2019年8月17日 8時) (レス) id: f77f241a94 (このIDを非表示/違反報告)
えいとちゃん(プロフ) - 更新いつも楽しみにしてます!!風邪などに気をつけてください! (2019年8月15日 2時) (レス) id: 7956a8a6f2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこと(プロフ) - アリアさん» 応援ありがとうございます!めちゃくちゃ好きだなんて…すっっごく嬉しいです♪更新頑張りますので、また覗いて頂けたら嬉しいです(*'▽'*) (2019年8月5日 16時) (レス) id: c0f23ad842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこと | 作成日時:2019年7月28日 22時