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「37.8…」
思った通り熱が出て来ているようだ。
これ以上高くなる前に、病院に連れて言ったほうがいいかもしれない。
「いのちゃん、いのちゃん?」
「…んぅ…?」
ボーッと薄眼を開ける姿に心苦しくなる。
「ごめんね。しんどいと思うけど、今から病院行こっか」
「びょ…い?」
「うん、病院。しんどいの楽にしてもらおうね」
「…ん。」
小さい声で言ったあと目をつむっちゃうから、また寝ちゃうのかと思ったけど、いのちゃんは腕を突っ張って起き上がろうとしていた。
慌てて背中に手を差し入れて手伝ってやる。
「…はぁ、っけほけほ。」
「無理しなくていいよ。」
「…大丈夫。…光、喉乾いた」
いのちゃんが水を飲むのを待って、マネージャーの車に向かう。
ちょっとふらつくいのちゃんを支えて、外に出るとよく知った人物が待ち構えていた。
「おう、光。てか、おいおい。伊野尾、お前大丈夫か?」
「…ん?薮?…何でいんの?」
今から病院行くって連絡したら、俺も行くってすぐ返事して来た薮。
もう着いたとは、俺もびっくり。
それだけ心配してたってことだろうけど。
「ん?おまえが弱ってるって聞いたから。どんな様子が見に来たんだよ」
「…悪趣味」
「んなこと言うなよ。せっかく来てやったんだから」
薮はそう言って、俺とは反対側に回っていのちゃんの体を支えた。
…薮もいのちゃんも素直じゃないんだから。
「薮も心配だったんだよ」
俺がそう言うと薮は顔を赤くして
「はあ?!ちげーし、俺は…」
っていいかけたけど、しんどそうないのちゃんを見て
「…あんまり心配させんなよな」
って小さい声で呟いていた。
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とびっこ - とても面白かったです!3人の絆がよくわかるお話でした。素敵なお話ありがとうございました! (2019年3月16日 8時) (レス) id: bc899b6d8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2018年2月12日 15時