□ばじるくん ページ4
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パカの言葉は、途中で途切れた。
ついに苛立ちが最高潮に達した、東雲の手によって。
___ﾊﾞﾁｨｯｲｲｲ!!!!!
｢おやおや…物騒ですね。ですが私への暴力行為は先程駆堂様に仰った通り、ルール違反でございます｣
パカは冷静に自身に向けられたスタンガンを持つ東雲の腕を掴んだ。東雲に握られていたスタンガンからは、ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯと青白い光が発せられている。
東雲は、すかさずパカのすねを蹴りあげ、隙を見て、距離をとった。その手には勿論、スタンガンが握られている。
｢うるっせーよ…!!家畜のクセに…こんなの自己防衛でしょ。変態から身を守るための」
初めて聞いた、東雲の声。
その声は、苛立ちが最高潮に達していたせいか、冷静とはかけ離れた荒々しい声だった。だが、それはどこか美しくも思えた。
｢ああ、良かった。舌は失くなってなかったのですね。私、安心しました｣
ですが、今後は厳しく処罰しますよ。と、パカに攻撃を仕掛けた駆堂と同様の注意をした。
｢どうせ嫌いな食いモン出すとか…クソ小っせーヤツしかでないんでしょ｣
｢な、なぜ知っておられるのですか東雲様!?｣
｢さっき
そんな茶番は置いておき、
｢
宥めるように、二人の間に入ってきたのは、白くふわふわの長い髪が特徴の少女__路々森ユズだった。ゆったりとした口調で、東雲に続けて話す。
｢ばじる｣___それは、東雲がゲーム実況の際に使用している名前だ。
｢キミの短所は、煽りにすぐ乗ってしみうところ
だよ｣
___にしてもビックリだよ。
｢キミも誘拐されていたのか。いやでも、正直嬉しいよ。一度会ってみたかったからね｣
よろしくだにゃ、と路々森は東雲に手を差し伸べた。だが東雲は、｢馴れ合うつもりはないよ｣と愛想笑いをして、スタンガンをもっていない手をポケットにいれた。
そして小さな舌打ちをして、自分の席にドカッと座った。
｢おお怖い。最近のにーちゃんは血気盛んなこった｣
｢刀を持った人が何言ってんだか｣
多少のいざこざはあったものの、これでやっと話が進む____とでも思ったのか、パカは短くため息をついた。
『ナカノヒトゲノム』リアル実況
生還条件は___再生数一億ビューの達成のみ。
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続く
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作者名：葵5563 | 作成日時：2019年9月8日 16時
