愛と感謝 (ページ10)

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俺のソロ撮りが終わって10分程度の短い休憩を挟んで、今度は廉との撮影が始まった。

｢平野さん、もうちょっと笑って｣

隣にいる廉のこと考えてたら、カメラさんに言われてしまった。

てか今仕事中だぞ、俺。

｢…すみません…｣

今日何度めかの謝罪の言葉。
そして続けて撮影が始まる。

隣には、廉。
こんなに近くにいるのに、今はお前を凄い遠くに感じてる。
こんな哀しいことってある？

***

｢…れん、｣

気付いたら廉の名を声に出してた。
幸い、メイクルームには俺しかいなかったから、よかった。

｢…なんで、こーなったんだっけ、俺たち…｣

撮影が終わり、身体を伸ばして寝転がる。
そして滅多に使わない脳をフル回転させて、考える。

…全く、わかんねーけど。

｢あーなんかむかつく…｣

なんで俺はそれでも廉を好きなんだろう。

『…俺らさ、もうあの頃みたいには戻られへんねん』

全ての撮影が終わり、それぞれのメイクルームに戻る時、廉にいきなり言われた。
きっとうまく笑えていない俺に感づいたんだろう。

｢…は？｣

｢……前みたいに俺達、自然に笑えてへんみたいやし｣

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