愛と感謝 (ページ9)

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｢平野さん、宜しくお願いしますー｣

メイクルームから出て直ぐにスタッフに声を掛けられ、撮影中のスタジオに案内される。

｢あ、廉｣

「…おん、おはよ」

今日一緒に入ってたの、廉だったんだっけ。
廉はちょうどソロ撮影を終えて休憩に入るところだった。

｢おはよ。寝坊しちった、ごめん。この後ってさ…｣

｢…あぁ、二人で撮って終わり｣

｢あ、そか…｣

廉とそれだけの会話を交わして、俺はすぐにソロの撮影に入った。

正直、俺はもっと廉と話したいんだけど、廉はそれを許さない。
短調に話す。
いつも。

いつからだろうか、変わったんだ廉は。

昔の廉は俺にべったりで、いつも何をするにも俺と一緒だった。
当時は少し鬱陶しいな、なんて思いながらも慕ってくれる廉に内心はとても嬉しくて、それが心地よかった。

周りのみんなは、廉は大人になったんだよ、なんて言ってるけど。

俺は割り切ることが出来なかった。
確かに年齢も重ねて、お互いに大人になったけど、どんなに時を重ねても、お前とずっと馬鹿やっていたいのに。

｢はーい、じゃあ次、平野さんと永瀬さん二人撮りお願いしますー｣

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