愛と感謝 (ページ8)

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もう戻れないページ8

S side.

『…俺らさ、もうあの頃みたいには戻られへんねん』

うんそうだね、なんて。

俺が素直に言えると思う？

決め付けんなよ。
何でもう決まったみたいな言い方すんの？
廉は昔から気分屋で、頑固で。
それは今でも変わんない。

それでも俺はそんなお前を憎めなくて、寧ろ好きが増してるんだよ。

【もう戻れない】

｢あーやっべ、遅刻する…！｣

都内某スタジオで、今日は雑誌の撮影が入ってる。
行き慣れたスタジオだからと少し油断してたら…見事に寝坊した。

撮影所の場所を確認して、エレベーターに乗り込む。
上がった息を落ち着かせる為に深呼吸をする。
そして今日は誰と入ってたっけ、なんて思い出そうとしたけど。

｢わ、まじでやばいじゃんっ！｣

ふと見た携帯の時計。
もう撮影、始まってるし。

…エレベーター、もっと加速しろ！

｢すみませんっ！遅れました！平野です！｣

ガヤガヤと少し緊迫している雰囲気のスタジオ内に響き渡る、俺の声。

先に撮影始めてちゃったから急いで着替えてきて、と1人のスタッフが俺に小声で耳打ちしてきた。
それにもう一度すみません、と謝り、メイクルームへと急いだ。