愛と感謝 (ページ23)

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「……ん、」

優しくて、時に乱雑に繰り返されるそれは、いつも時間と現実を忘れさせられる。
アルコールが回ってるせいもあって、身体がとても熱い。

「……れん、さ」

「ん？」

「…もしも、俺が居なくなったら、どうする？」

名残り惜しく口を離すと、紫耀が真っ直ぐ目を見て、そう言った。

あまりにも突然すぎる、突拍子もない質問に俺は、ふはっ、と吹き出してしまった。

「…何やの、急に？
…この状況でそんな冗談、やめてやぁ」

相変わらずの紫耀の天然具合には、脱帽ものだ。
思わず笑みが溢れてしまいながら甘ったるく言って、それよりも続きを、と自ら紫耀にせがむ。
紫耀は何も言わずにそれに応えてくれた。

***

次の日の朝は入りの時間まで久々にゆっくり過ごした。
他愛もないことを話したり、笑ったり、無言の時間でさえ愛しかった。

しばらくまた、2人での時間は作れないけれど十分に充電した、つもり。

「…んじゃ、先行くね」

「…おん、じゃね」

先に紫耀が家を出る。
紫耀を見送って、少しリビングを片付ける。

付けっぱなしになっていたテレビの画面は、昨夜見た映画のタイトルが映し出されていた。

『…もしも、俺が居なくなったら、どうする？』

ふと、昨夜の紫耀の言葉が頭をよぎった。
きっと、この映画の物語に影響されて紫耀は俺に言ったんだろうけど。

(……しょおも、酔ってたんやろ)

テレビを消して、身支度を進める。
そう、紫耀も自分と同じで昨夜は酒が回っていた。
だから、あんな一言を言ったんだ。
映画に感動して、流れで言った、それだけのことだ。

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