愛と感謝 (ページ13)

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｢平野さん、もうちょっと笑って｣

2人での撮影が始まって、カメラさんに言われていた紫耀。
それに続けてすみません、と謝っていた。

…ああ、紫耀は俺といたら自然と笑うことすら出来なくなっている。

この状況を、この俺たちの壁を作り上げてるのは、完全に俺のせい。
紫耀は、悪くない。
俺が紫耀のことを想う度、知らずと紫耀を傷付けてしまっているんだ。

(……しょお、ごめんな…)

俺がまだお前の事が好きだから、こんなモヤモヤとした感情が生まれて、何も悪くないお前に八つ当たりしてしまう。
心の中で謝っても、紫耀には絶対届かないのに。

俺の中の大層高い壁は、到底乗り越えられそうになかった。

「…俺らさ、もうあの頃みたいには戻られへんねん」

撮影が終わって、紫耀に言った。
もうこれ以上、期待もしてはいけない。
勝手だけど自分への戒めとして、紫耀に告げた。

「…は？」

｢……前みたいに俺達、自然に笑えてへんみたいやし」

突然こんなこと言われて目を見開く紫耀。
直接紫耀の目を見て言うことが出来ず、ブレスレットをいじりながらさらっと伝えた。
きっと今、紫耀の目を見たら、気持ちが揺らいでしまうと思った。

「…廉は、そう思ってるってことかよ｣

｢………｣

｢…それだけで、決めつけんな…｣

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