愛と感謝 (ページ2)

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｢…早く、慣れたいなぁ、この仕事｣

後もう少しで着くコンビニまでの道のりを足早に歩いていたら、急に紫耀がはぁ、と一息吐いて言った。

｢…え、しょおだいぶ慣れとんのかと思ったわ｣

「慣れへんよ、…まだまだや」

普段から何でも卒なくこなす紫耀だから、そんな事を口にするのは意外だった。

事務所の入所は俺より後になるが、この業界においては全て俺よりも経験のある紫耀が、"まだまだ"だと自分を評価する。

｢いつか、自分がグループ結成とかしてデビューしたらどないなるんやろ、とか考えんねん。…まぁ、まだまだ先の話やけど｣

白い息を吐きながらボソボソと、でも真剣に話す紫耀に、少し胸が痛む。

俺は、紫耀や周りの奴らと馬鹿言ってふざけ合ったりするのが好きで、そこの延長線上に仕事がある、とさえ思っていた。
この事務所に入って、気の合う仲間が出来て、それなりに番組や雑誌などにも出れて。

正直、今以上の状況のことなんて全く考えていなかった。
現状で満足している俺に対して、紫耀はしっかりと未来を見据えていた。

毎日一緒にいて、同じことして笑ってるのに。

｢……わっ、れん、見て！｣

｢…ん？｣

｢上！空見て！｣

言われるがまま上を見上げると、そこには沢山の星屑。
冬の夜空を演じるその見事な星の数に圧倒された。

｢……すげ…｣

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