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迫られる選択 ページ12

泣くしかなかった。
嘘だと言って欲しい。
だってまだ動ける。
踊りたい、歌いたい、と体が叫んでいる。
それなのにどうして。
どうしてこんなこと言われなきゃいけないの。






「……Aちゃん、気持ちは分かる。でも今後の活動を考えると、」
『嫌だって言ってる……っ!』






やっと掴んだんだよ。
すごく格好いいデビュー曲だっていただいたの。
こんな私にも歌割りがあって、アクロバットやってみる?って提案までされて。
それなのにどうして。
やっと、やっと自分を肯定でき始めたところで、どうしていつも足踏みをさせられるの。
たくさん溢れ出すどうして、に翻弄される。
苦しくてやり切れない。
助けて欲しい。






「メンバーのみんなともちゃんと相談した方がいい。きっとAちゃんひとりじゃ決めきれないと思うから。これからの、未来のAちゃんにとって、最善を選んでね。今の君じゃない。未来のだよ」






顔を手で覆って、泣くことしかできなかった。
気持ちだけは急いている。
やる気にだって満ちている。
それなのに気持ちだけではどうしようもない。
体が言うことを聞かない。
私が思うように動いてくれない。
たくさん働きたい。
昔の自分に、私は今こんなにも充実した日々を過ごしているのだ、と胸を張って言いたい。
それなのに、体はいつも、鉛のように重くて、私の気持ちとは裏腹に鈍くなっていく。
泣いたって仕方がないよ。
自分が蒔いた種だって、自分で一番気付いているのに。
それでも気持ちは、どうして私なの、どうして動かないの、どうして、どうして、としか考えられなくて、悲しかった。






「A、とりあえず行こう」
「お嬢、」
『……どこに、行くの、』
「え……」





家に帰ってもひとりだ。
実家に帰ったってひとりだ。
今はひとりにしないでほしい。
ひとりにされたらまるで全てから見放されたような気持ちになってしまう。
怒ってくれても、呆れられても良い。
だってそれは仕方がない。
自分の体を一番知っている私が、私のことを軽んじてしまったから。
だから今のような状況になっている。
薬をちゃんと飲まなかったから。
通院をしっかりしなかったから。
もっと言うと、もっと早くみんなに伝えるべきだった。
これから先、1年の大半を一緒に生きていくみんなに、私のことをありのまま知ってもらうべきだった。
それを怖がって逃げていたのは私だった。
わかってる、わかってるの。
だけど、






『やだ、ひとりに、なりたくない……!』
「A……」






震えるふっかさんの声がした。
国王の息を飲む音がした。

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小夜(プロフ) - 黒羽さん» 黒羽様、コメントありがとうございます。心を動かせるような文章を書きたい、と思っておりますので、いただいたコメント本当に嬉しいです。これからも更新を自分のペースで続けて参りますので、最後まで見届けていただけますと幸いです。本当にありがとうございました。 (5月7日 22時) (レス) id: 21e7727b2a (このIDを非表示/違反報告)
小夜(プロフ) - ういさん» うい様、コメントありがとうございます。お気に入りと言っていただけてとても嬉しいです。これからも自分のペースでお届けできればと思っておりますので、楽しんでいただければ幸いです。うい様もくれぐれもご自愛ください。本当にありがとうございました。 (5月7日 22時) (レス) id: 21e7727b2a (このIDを非表示/違反報告)
黒羽(プロフ) - 更新ありがとうございます。ボロボロ泣いてしまいました…。体調優れないようですね、、季節的なものも相まってしんどくなりますから、ご無理なさらずご自愛ください。♡ (2023年4月11日 22時) (レス) @page32 id: cbd5662403 (このIDを非表示/違反報告)
うい(プロフ) - 更新ありがとうございます!!とてもお気に入りの作品なので、更新嬉しいです!主様も体調にはお気をつけて無理せず更新頑張ってください!応援してます! (2023年4月10日 23時) (レス) @page32 id: ae901686b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜 | 作成日時:2023年1月9日 8時

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