拝啓、あの日の君へ ２ 【Snow Man】

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阿部が本当に嬉しそうにファンレターの話を続けた。
しかも女の子からだったらしいよ、という言葉にさらに嬉しくなる。
俺たちの、Snow Manのファンが、やっと、小鳥遊Aの存在を受け入れてくれた。
たかがひとりかもしれない。
されど、ひとりだ。
ひとりに認められれば、可能性はいくらでも見出せる。






「Aがさ、俺のこと、格好いいって言ってくれたんだ」
「阿部ちゃんは格好いいよ」
「ありがとう、……俺さ、色々みんなに迷惑かけてきて、恩返しするために必死でさ。不器用だから何度もトライアンドエラーを繰り返す。でもそれを、格好いいって、Aもめめも言ってくれる。うれしいよね、」
「事実を言ってるだけで感謝されるの、照れんね」






目黒が、照れ臭そうにはにかんで笑った。
俺たちももっと、Aや、康二やめめやラウールに、格好いいよ、良かったよ、って、伝えてあげないといけないね、恥ずかしがらずに、当たり前だと思わずに、と阿部が続ける。
俺たちだって、ファンレターに勇気づけられて来た。
そこに書かれる俺たちへの激励に、いつだって背中を押されてきた。
たしかに言葉は鋭利で凶器にもなるけれど、それなら、治療薬にも癒しにもなってくれよ。
きっともう、お嬢を救えるのは、そういう優しくて頼もしい言葉しかないはずなんだ。







「俺！Aちゃんに、ラウちゃんはそのままで良いよ、って言われたんだ。俺の持ってるもので俺が傷つくのはおかしいし、傷つかないくらい強くなる必要ないって。そのままで良いって」
「そんなこと、あったんやね」
「Aちゃんだって、そうなんだよ。女の子がひとりだから苦しいと思う。俺たちが理解できないこともいっぱいある。だけど、それでAちゃんが変わる必要ない。Aちゃんは今のままで良いよ」
「そんなん言ったら俺やってそうやわ……鳥ちゃんに、ほんまに救われたんよ。俺の弱みが、強みやって、気付けてん。まだ大丈夫やって、思えてんで」
「……小鳥はもっと、知るべきなんです。俺たちにばかり色々言うけど、おまえにだって味方がいるんだぞって。おまえだって、傷付かなくて良いんだぞって」






きっと、加入組だって、たくさんお嬢に救われてきた。
お嬢の言葉の威力に、頼もしさに、何とも言えない逞しさに救われてきたはずなのだ。
だから、今度は俺たちが、もらったものを返したい。
甘やかすのではなく、救いたい。
どうにもならなくなったお嬢を、取り戻しに行く。
どこにも行けなくて迷っているお嬢を、小鳥遊Aとして堂々と振る舞う彼女を、取り戻しに行く。

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