拝啓、あの日の君へ ２ 【Snow Man】

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「俺ら何を教えたら良いの？」






さっくんが舘さまに聞いている。
私はマットの上に立った状態でふたりを見た。
何かやってみてよ、と言われたので、とありあえず前宙と側宙をした。
これはひとりでも出来た。
何度も何度も人の成功例を見ながら、自分に落とし込んでいった。
だけど、







『バク宙が、できなくて』
「いやいや、バク宙できなくても前宙と側宙できれば、康二たちなんかよりもずっと出来てるって！」
「……普通に驚いて言葉も出ない」
「出てるけどね？舘さん、ちゃんと声出てるんだけどね？」
『………バク宙、怖くない？』







ひとりでやっていた時に、下手な動きになってしまって、怪我をしたことがあった。
アザが出来ただけだからまだ良い。
でも捻挫したら？靭帯を損傷したら？
これからのダンス人生、無駄になりそうで怖かった。
だから、もう一生アクロバットはしない、と決めていたのに。
だけど、Snow Manに加入して、私はこのグループに私がいる意味を、何度も何度も考えなくてはならなかった。
逃げる選択肢なんかなかった。







『歪でも、不恰好でも良いの。とりあえず、できるようになりたい』







そう言えば、さっくんも国王も真剣な顔をして指導してくれた。
足を持って思い切り上に振り上げられる。
反動で一回転する。
ぶわりと反転する世界に吐き気がした。
頭から落下したら。
頚椎を骨折してしまったら。
一生寝たきりなんて耐えられない。
ダンスが踊れない世界線なんて、絶対に生きていける自信がない。







「A」
『なあに？』
「そんな苦しそうな顔してやるもんじゃないよ。ましてや、Aが教えて欲しい、って言って始めたことなのに。何でそんな追い詰められた顔してるの」
『追い詰められてなんか、』







でもどう考えても追い詰められていることは明白だった。
どうしてすぐにバレてしまうの。
今までもっと上手くやってきたはずなのに。
いや、Snow Manのみんなの前で一度だって上手くやれたことなんかなかった。
それはみんなが私を全力で受け止めると決意してくれたからなのに。
どうして私は、みんなを心の底から信じられないのだろう。
みっともなくて、格好悪くて、臆病な自分が、嫌だ。







『もっと、強くなりたいの。Snow Manのために力をつけたいの。みんなの役に立ちたい。私の存在を証明したい』
「もうAは十分、存在を証明してくれているのに？」
「鳥ちゃんの存在に、俺たちめっちゃ助けられてるよ？」







優しすぎるふたりの言葉が、ただ、苦しかった。

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