拝啓、あの日の君へ ２ 【Snow Man】

成功と微かな自信 ページ27

本格的に始まった8.8祭に向けた日々に、少しの高揚感とまだどこかで折り合いをつけられていない悲しみが混ざる。
素のまんまを聞いた、という方から、ポツポツとファンレターが届くようになった。
前を向かない理由がなくなって、ひたすらに踊る日々は、久々に私を自由にしてくれている気がして、気付いたらとんでもないことが起きていた。






「Aちゃん？！？！」
「はぁ？！」
「鳥ちゃん？！待って？！え？！舘様！！鳥ちゃんが！！！」
『……で、きちゃった、』






ラウちゃんとしょーたくんとさっくんが、口々に私に向かって驚きを発する中、めめとこーじくんはポカンとして私を見ていて、あべちゃんは可愛く拍手をして褒めてくれている。
ふっかさんとひーくんは何故か天を仰いでいて、国王は飲み物を買ってくるとちょうど廊下に出たばかりなのに、さっくんがすごい勢いで呼び戻しに行った。
みんながそれぞれにそれぞれの反応をしているけれど、私も言わせてほしい。
申し訳ないけれど、今の状態に一番驚いているのは私です。





「できちゃった♡、じゃねえのよ」
『……ママ〜！しょーたが頭叩いてきた〜！』
「こら、しょーた！お兄ちゃんなんだから妹をいじめないの！ねえ、パパ」
「ふっか、何乗せられてんの」
「おおおい！！！そこは乗るところ！！！」





一番最初に冷静になったしょーたくんが、私の方に近付いて緩く頭をタオルで叩く。
自分がおそらく一番パニックになっている。
思わず、ふっかさんに悪ノリをしてしまった。
それに乗っかるふっかさんも相当パニックだし、楽しかったら乗っかってくるひーくんも今日は乗ってこないから、多分パニックになってる。
いや、分かるよ。
何度でも言うけど、私が一番パニックになってるから。






「違うんだって！いや違わないけど！」
「佐久間、要領掴めないんだけど。それより、スポドリ買いに行かせて」
「だって！国王？！俺たちの特訓が身を結んだんだよ？！」
「あの日から、ほぼ練習に付き合ってないのに？」
「でも！鳥ちゃん出来てたんだって！」






さっくんの大きな声と共に、心底迷惑そうな顔をしながら国王が入ってくる。
嘘つくな、とさっくんに怒っているのに、部屋にいるメンバーを見て、確信したようだった。
私の方に近付いて、静かに国王が言う。
目を見ながら、何なら肩に手を添えて、瞬きひとつせずに事の真相を知ろうとしている姿に、私の背筋も伸びた。






「本当にできたの？」
『できて、しまいました…、ね？』
「バク宙が？」
『………はい、』

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