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なんで…？
私何かした…？
そう、涙を流す勝己を前に動揺する。
なんで泣くの？ねえやだ泣かないで。と思っていたら何だか私も悲しい気持ちになってきてしまった。
泣きそうな顔でオドオドしてたら、勝己が私の方に腕を伸ばしギュッと抱き締められた。
え…。なに…。
私の背中と頭に手を回し、離れるなと言わんばかりに強く、しかし優しく、抱き締められる。
｢…勝己？大丈夫？｣と小さく問いかけたら、
｢…頼むから、何処にも行かないでくれ。｣
と、消え入りそうな声で言われた。
…？なんで？どこにも行かないよ…？
と思ったけれど小さく震える勝己の肩を見て、私も抱き締め返しながら静かに言う。
｢…勝己？私ちゃんとここにいるよ。大丈夫。｣
そう、安心させるように優しく伝える。
すると徐々に震えは無くなっていき、私を抱き締める腕も少し緩む。
一体どうしたと言うのだろう。こんな勝己は初めてでどうすればいいか分からない。
｢大丈夫？どうしたの？私なんかした…？｣
一旦勝己から離れて顔を覗きながら問いかける。
下唇を噛み、まだ少し涙を浮かべながら勝己は言った。
｢…お前が、死ぬことを想像したら泣けてきた。｣
驚いた。
きっと、焦凍の話を聞いて私の家族の事に繋げたのだろうと直ぐに理解する。
この短期間で色々な事が起こり、心配をかけてしまったことも相まって、こんなことになってしまったのだろう。
私はもう一度、勝己を抱き締めしっかりと伝える。
｢ごめんね、不安にさせてたね。大丈夫だよ、ちゃんとここにいて、ちゃんと生きてるから。｣
｢…無茶するな、俺を頼れ。｣
｢うん、分かった。ありがとう。｣
勝己と無茶をしないと約束をして、｢…戻る。｣と勝己は控え室に戻って行った。
…さて、私もそろそろ戻ろうかな。
私も勝己の後に続いて元来た道を戻り、控え室へと向かった。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年9月1日 16時
