緋色 Part.3

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:135,838 hit

122. ページ22

.

｢…勝己、盗み聞きは良くない。｣

そう、静かに話しかける。

あの後、オールマイトと別れた私は1人でとぼとぼと歩き回り出口を探していた。

向こうの方がやけに明るいので、｢お、出口発見。｣と歩いて来てみたら、勝己がいた。

なんでそんなとこにおるんや？と思ったが角の向こう側から焦凍とデクの会話が聞こえてくる。

…焦凍、そんな事言わないで欲しいなあ。

勿論私は、焦凍が炎司オジサンからどんな教育を受けていたのかも、顔の痛々しい火傷の跡が、どうやって出来たのかも知っている。

小学生の頃は、1番近くで彼を応援していたから。

そんな大事な会話を盗み聞きしていた勝己に静かに声をかけ、冒頭に至る。

｢…てめえは知ってたんか。｣

｢うん、知ってるよ。私轟家の人に結構お世話になったから。｣

冷さんのことも勿論知っている。あの事件以来ずっと入院しているらしいけれど、お見舞いには行っていいのだろうか。

そんな事を1人で考えていたら、

｢…お前が、｣

｢…？｣

『お前が』、その続きを言わずに俯く勝己。

どうしたのかと、｢勝己…？｣と顔を覗き込む。

｢え…勝己っ…？｣

…何で、泣いてるの？

.