020 ページ20
.
少し風のある日。
指のつけ根まで隠れるほどのダボついたジャージを通して俺の身体に風が吹きつける。
最後に半袖を着たのはいつだったか。
度重なるリスカと傷の深さでもう消えないリスカ痕が残ってしまった。
身体を少し後ろに傾ければカシャン、と軽いフェンスの音が鳴る｡
きりしー、俺今、
すごく高いとこにいる。今までで1番高いとこ。
もう1歩先のところはなにもない。
｢─────･･･きりしー俺ね、思うんだ｣
下の人はこんな高いとこ来れないと思ってた。
でも登ろうと思えば登れるんだね。
ただ、長くは留まれないだけで。
｢きりしー、上に来ちゃえばあとは｣
自分で笑えてくる。
最期の最期まできりしーきりしーだ。
｢下まで堕ちるだけだよね｣
呟いて、空中に1歩踏み出す。
ばいばいきりしー。
きっと届かないよな。けど、
｢だいすき｣
もしそうしてくれるなら、俺のこと覚えてて。
俺の汚い身体を知らないきりしーの心の中に、綺麗な俺のまま居続けたい。
綺麗な俺を消さないで。
ああ、俺死ぬんだなあ。
自分から飛び降りたくせに怖いや。
また来世で、なんてしょうもないこと考えて目を閉じる｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晴瑠(プロフ) - ユキさん» いやん嬉しいです(*/ω＼*) (2019年4月5日 11時) (
レス) id: 6f26d111d0 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 面白い (2019年4月5日 1時) (レス) id: a9683f381c (このIDを非表示/違反報告)
晴瑠(プロフ) - るなさん» わあああああ！ありがとぉ！！ございます！嬉しい。頑張れちゃうます (2019年3月22日 22時) (レス) id: 6f26d111d0 (このIDを非表示/違反報告)
るな - 続き楽しみです！頑張ってください！！ (2019年3月21日 5時) (レス) id: 087d3c3f2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：晴瑠 | 作成日時：2019年3月20日 7時
