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枕に染みが広がる。
横を向いて目を瞑った。
瞑ったまぶたの上を、涙がぽろぽろと流れる。
重いと思うんだ。
これくらいでやきもちを焼くのは。
でも、耐えられない。
スンさんがわたしでない人と
どういう風に愛しあってきたか
想像するだけで、悲しくてしょうがなくなる。
あんな世界一かっこいい笑顔も、
かわいい寝癖も、
全部見せたのかな。
旅行では、一緒においしいもの食べて
ふかふかの手を握って歩いて
それから、
それから
あの、優しい声で
だいすきだよって言って
頭なでなで
してあげたのかな。
そこまで考えたところで、
ついに耐えられなくなって
声を漏らして泣いてしまった。
こんな姿、見せられないよ。
嫌われちゃうよ。
枕はびしょびしょ。
悲しくてしょうがない。
でも、わたしは知ってる。
こういうときは、存分に泣くのが1番だ..
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頭を
暖かい手で撫でられる感覚で、
意識が戻った。
たくさん泣いたせいで、目が開かない。
うっすらと開いた視界に、小さな読書灯がついているのが見える。
まだ少し濡れている目元を、太い指が撫でる。
まだ、目の中に溜まっていた涙が
ぽろりと一粒、その指に落ちた。
びしょびしょの枕を触る音。
「 たくさん泣いたね 」
優しい声。
目元にキスが落とされる。
耐えられない。
こんなに愛してくれているのに
過去でも愛されていたらよかったのに、
なんて思う。
わたしは欲張りだ、本当にどうしようも無い。
目を瞑りながら、ぼろぼろと溢れる涙。
全部スンさんの指の上に落ちる。
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作者名:は | 作成日時:2020年10月16日 1時