5 一目惚れ ページ13
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「 ゆずちゃんのこと、気づいたらすきだったんだよね 」
お酒を飲んだスンさん
蕩けるようにソファに体を預けながら、
わたしを見つめる。
開けようとした3つ目の缶は、なんとか取り上げた。
「 不思議な感じだよ。
初めは、ただ小さくて無邪気な女の子としか思わなかったのに 」
赤く充血した目が潤んでいる。
にこにこして、嬉しそうにわたしを見つめる。
そんな彼には、言っていなかったことがある。
別に、秘密にしていたわけではない。
言う機会がなかっただけ。
「 いつからすきだったか、覚えてないの?」
「 それが、あんまり覚えてないんだよ
あ、半袖姿を見てドキドキしちゃったのは覚えてるよ。
もう!ゆずちゃんのエッ チ!」
二の腕を触る手が
脇の下に入ってこようとするので阻止する。
「 ふ〜ん 」
ちょっと意味深な視線を送ってみる。
口元がにやけるスンさん。
「 なあに〜?なんだよ〜?
エッ チな顔して〜 」
半袖姿だけでドキドキする、スンさんの方がエッ チだもん。
「 わたしは初めからずっとすきだったよ 」
「 初め? 」
お酒で溶けた頭をなんとか回転させるように
わたしの顔をじっと見つめる彼。
「 あ、初めから...、えっ。え? 」
意味を理解したのか、充血した目が驚きでぱっと開く。
そして、次の瞬間には、
ソファから身体を勢いよく起こす。
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作者名:は | 作成日時:2020年10月16日 1時