. ページ9
.
涙で滲んで視界がぐちゃぐちゃ。
彼の顔が見えない。
「 スンさんが、
他の人のことを好きだったのが
想像すると、とても、つらくて、」
途中で胸がつかえて、
声が出なくなってしまったところで、
スンさんが、わたしの頭を優しく撫でる。
目をまっすぐに見つめてくる。
やさしいつり目が、
もう、涙で滲んで見えない。
「 ごめんなさい、わたし、嫉妬深くて 」
そういい終わる前に、
スンさんが布団に乗り込んできて
大きな体で、
小さい体をさらに小さくしたわたしを、抱きしめる。
すごく強い力。
ぐっと手で握られた肩が痛い。
「 謝らなくていいんだよ 」
「 わたし、スンさんが女の子の友達と一緒にいるのはいいんです 」
「 うん 」
「 だけど、前の恋人は、ただの友達じゃ、ないから... 」
ついに、子供みたいに
声をあげて泣き出すわたし。
「 あらら〜、もう〜 」
眉を下げて笑うスンさんが、今度は優しくハグをして
背中をさすってくれる。
こんなに、嫉妬で取り乱す姿なんて
見せたことがないから
不安でいっぱいになる。
「 ごめんなさい.. 」
困らせているのが申し訳なくて、
また謝ると、
わたしの頬を両手でぎゅっと包んで、
前を向かせて
正面から目を合わせるスンさん。
「 ゆずちゃんね、よく聞いて。
謝る必要はないんだよ。
おれも一緒なんだよ。」
涙で濡れた目元を、
優しく拭ってくれる親指。
そして、真剣な顔をしたと思ったら
「 おれだって、
ゆずちゃんと初エッ チした男が、許せない！」
声を荒げた彼。
突然の下ネタ発言に
わたしは、
つい吹き出してしまった。
「 わらっ、なんで笑った？」
睨んだ表情を作る彼。
ちょっと恥ずかしそうに
口元がにやけている。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：は | 作成日時：2020年10月16日 1時
