赤い狙撃手 〜First semester〜

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初めて見たＥ組校舎は古くてオンボロだ。成る程。この閉鎖的空間は暗殺者を育てるのにも、国家機密を隠すにもうってつけの場所。

木造建築の小さい校舎の廊下を進み職員室の前で止まる。ノックをし、扉を開けた。


「失礼します。今日からＥ組でお世話になる、赤井Aです」


頭を下げ自己紹介を済ませる。第一印象はとても重要だ。丁寧な言葉と動作で挨拶する。頭を上げたところで暗殺のターゲットの顔が目に入る。

写真で見ていたものの、なんというか。


「……思った以上に、タコだ」


「にゅやぁ⁉」という変てこな奇声を発する生命体に興味を持ちじっくりと不躾な程に観察する。見れば見るほど不思議な形をしていた。

慌てるタコを置いてじっと見続けているとタコの後ろから長身の男性、先日会った烏間さんが歩いてきた。


「こいつが暗殺のターゲットになるＥ組の担任だ。先日説明した通り、俺は体育教師の烏間忠臣。よろしく頼む」

「はい。烏間さん……いえ、烏間先生」


タコを置いて会話をおし進め、教室に移ることになる。その後、先頭を行くタコの後に続いて教室に入る。バッチリ赤羽と目が合った。軽く手を振られたのでふり返す。

ちなみにタコの名前は「殺せんせー」らしい。教室に入った時に聞こえた。殺せんせーに話を振られたので挨拶をする。


「赤井Aです。よろしく」


簡潔に二文で済ませる。第一印象がどうたらこうたらは諦めた。さっきの担任との対面で既に失敗してしまったならば、もう、なりふり構わず素の自分で接していこう。

席は赤羽の隣と。これはまた何かの縁だろうか。クラス中の視線を浴びながら空いた席へと歩く。座って隣を見ればニヒルな笑みで笑う悪友。


「宜しく頼む」

「うん。こちらこそ宜しくね」

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