最強少女は無双しない【イナイレ】 (ページ3)

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「部員求む？」

広過ぎて把握しきれていない校舎の構造を覚えようと校内を歩き回っていると、とあるポスターを見つけた。横には小さくサッカー部と書かれている。

おかしいな、サッカー部はこの学校には無かった筈では。疑問が浮かんだものの『サッカー』という言葉に心を奪われサッカー部の部室を探す。

幾分か校内を見回ると校庭にある倉庫だった建物にサッカー部と書かれた札が下げられていた。ふむ、此処が師匠の所属していたサッカー部か。なんだか古いな。

「えっと。鬼龍院、さん？」

しみじみと魅入っていると後ろから声を掛けられた。同じクラスの円堂。成る程彼がサッカー部を作ったのか。見事に師匠のサッカーバカが継がれてそうだな。

「……ポスターを見てな。マネージャーも募集しているのだろうかと聞きに来たんだ」

「鬼龍院さんもサッカーやるのか⁉」

驚いた顔をしたと思ったら、次の瞬間とても嬉しそうに輝いた瞳に物凄い勢いで迫られた。その気迫にたじろぐも、こくりと頷く。「大歓迎だ」と喜ばれ部活に入るように急かされた。

部室に入ると既に居た3人の生徒が此方を振り返りじっと見つめてきた。こうもじっくり見られると居心地が悪いな。すると円堂が一歩前に出て口を開いた。

「同じクラスの鬼龍院さんだ！これからはサッカー部のマネージャーになる。なっ？鬼龍院さん！」

輝いた笑顔を向けられた。おい、どうしろと。じっと見つめられる。ああ、成る程な自己紹介をしろということか。

「鬼龍院杏樹です。これからサッカー部のマネージャーとして宜しく頼む。」

頭を少し下げ会釈する。3人の生徒は「こちらこそ」など口々に返してくれた。

向こうも自己紹介をした。女子生徒が木野秋、同じマネージャー。背の高い男子生徒が染岡竜吾、FW。茶髪の男子生徒が半田真一、MF。円堂はGK。そうだろうな、聞く前から薄々気づいてた。

部員も少なければ、部室も質素なもの。練習もろくに出来ていないとは流石に驚いた。これがあのイナズマイレブンのいたサッカー部なのかと。

ただ部室にはいろんな書き置きが残っていた。沢山の熱いメッセージ。確かに此処は師匠のいたサッカー部だと改めて認識をした。

師匠の孫の円堂守。これからこのサッカー部は、どうなっていくのだろう。私は此処で居場所を見つけられるだろうか。