顔出し厳禁な歌い手さんは女装が趣味らしい【歌い手】【男主】

その男、聞き耳 ページ40

『＿いらないすべてはいらない、怖じけづいた野望のトライ＿』



声出ている事は分かっているが周りに聞こえない程度で歌う。半分無意識。


選曲はパッと出てきた威風堂々。



スマホをいじりながら歌っていたら歌が終わってしまい、目線はスマホのまま、次は何を歌おうかな、と考える。



『＿さよならはあなたから言った、それなのに頬を濡らしてしまうの＿』



次はこれまたパッと出てきたシャルル。
結構好きなんだよね。



そして歌も後半に差し掛かったところでパンケーキがきた。


歌うのを止め、スマホを置くといただきます。と小さく呟いてから食べる。




適度な大きさに切って食べたパンケーキは美味しかった。



ふわふわな生地、甘すぎないメープル、主張し過ぎてないフルーツ達の甘み…そしてしつこくない生クリーム。



『…ん〜…うまい。』



思わず声が出てしまう。







食べ終わり、ふぅ、と一息つく。



さぁどうしようかな。と考えていると隣の席から会話が聞こえた。



…盗聴ではないからな。



「このケーキうまい！」



「こっちのパフェだって美味しいで！」



二人だろうか。
どちらとも訛りが入ってる気がしてふーん。と何となく皿を見ていた。


すると気になる話が聞こえてきた。



「そういえばさ、次何歌うか考えてる？」



「決めてへんなぁ。とりあえず明るいの歌ってみたいとは思ってるで」



「へぇー。カバーか？」




お？同業者かな？



話の内容から勝手に推測してちら、と横を盗み見る。



すると隣にはイケメンの類いの二人がいた。



最近イケメン多くないか。




そう思っているとあ、と隣から聞こえた。



「写真撮るの忘れてたわぁ〜」



「別によくね？」



「いやぁ〜、最近twitterの写真の所が見栄えなくてさぁ。ここらで明るいの入れたいんよ」



そう言ってｶｼｬ、と聞こえる。





数十秒後、隣の人がスマホを置くのと俺のスマホが震えたのは数秒の差。

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