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簡単に言っているがそれが言葉に出来たら苦労しない。 ページ21

「蘭さん達には内緒にしてくださいね?」

「もちろんです!」

「良かった。・・・・実は元々付き合っていたんですよ」

「え!」


梓さんはキョロキョロと周りを見渡し、ほっと息を吐く。
女子高生が帰ってて良かった、なんて心配しているようだ。

ああ、確かに聞かれてたら問題になりそうだな。


「わ、別れちゃったんですか?」

「ええ、まぁ・・・・。別れ話をしたわけではないんですけど、しばらく会わない間にいつの間にか。「私と安室さんはもう恋人じゃないんですから放っておいてください!」とこの前も言われてしまって・・・・」

「それはちゃんと話し合わなきゃダメですよ!自然消滅は一番話がこじれます!」

「はは・・・・身に染みてます・・・・・・」


キュラソーの時も、守らなくていいなんて言われたな。

そんなに俺は頼りないのか。



「それで、今は心の中に入ってる・・・ってどういうことですか?」

「それは・・・・。・・・・・・付き合っていた頃はお互いがお互いを知ろうとしなかったんです。「好き」「私も」みたいな、学生みたいな恋だったんです。素性を探るのはいけないと・・・・お互い一線を越えてはいけないことは暗黙の了解だった。今思えばそれがいけなかったんだな、と。鬱陶しがられてもそんなこと構わずに話せばよかった・・・・。そうしたらきっと、」


きっと、あいつの心の中に居たのはヒロじゃなくて俺だった。


「そういう意味なら、僕は今でもこれからも片想いですね。Aさんの心の中に居るのはいつだってただ一人ですから」

「安室さんじゃなく?」

「ええ。あ、沖矢さんでもないですよ」

「え〜、誰だろう。まぁそれは置いといて・・・・・でも安室さんは、妻夫木さんが好きなんですよね?」

「え、ええ、まぁ・・・」

「なら諦めないでアタックしましょう!別に付き合えなくても、話し合うことは出来ます!」



そうして彼女の一線を越えろ、と。

・・・・なんというか、梓さんらしい答えというか。
でもそうだな。話し合うこともしないで答えは見つけられない。


ありがとうございます、と梓さんに一礼してから彼女の元へ向かう。

Aは不思議そうに俺の瞳を見つめている。



「Aさん、僕は決めました」

「?な、何をですか?」

「絶対に逃がさない」

「ヒェッ」



今度こそ、その手を掴んでみせる。


誰にも奪わせない。

赤井がスパルタ過ぎて三日寝込んだことはまた別の話。→←そんなに分かりやすく一線を引かれると流石の俺でも傷付くぞ。



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豪秋(プロフ) - 凄い面白いです。更新頑張ってください。 (2020年5月5日 17時) (レス) id: abe3eae12b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかづち | 作成日時:2019年4月29日 19時

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