十一匹目 ページ10
Aサイド
でてけ
その一言が私の中で何かを壊した
その瞬間
怒りと悲しさでぐちゃぐちゃになった感情が
私の足を進めた
もう終わってしまったけど
好きだったんだきっと
私は負けてたずっと
私は過去の話を聞いた時
同情なんかするつもりは無くて
守りたいと思って
泣かないでほしいと思った
それを伝えられないまま終わって
後悔が私を蝕む
A「なんなのよ(泣)」
私が向かったのは人通りの少ない
とても静かな場所
私の家
とっても大きくて
ジョングクに会う前は開放感に浸ってたけど
今では虚無感に襲われてる
私ってほんと馬鹿
何をする気にもなれず
数日ただぼーっとした
ジョングクサイド
Aが居なくなって数日経った
会社も長期休みで
魂が抜けたような俺を
ヒョン達は心配していた
俺はきっと気づいていた
でもいつも誤魔化した
負けを認めたくなかった
遊びのつもりだったのに
あいつの純粋な瞳に
弾けるような笑顔に
惹かれて
好き…いや
愛するようになっていたんだ
でてけ
こんなの本心じゃない
そばにいてほしい
どこへ行ったのA
戻ってきてよ
君が僕の心を掴んだのに
置き去りにするの？
もうよくわからなくて
考えるよりも先に体が動いていた
会社にある
資料を漁って見つけた
シワひとつない
綺麗な君の顔写真が貼られた
履歴書を
住所を確認して車を走らせた
涙で視界が歪んで
事故に遭うかもしれないと思ったけど
Aに会いたくて
その衝動が
俺を動かした
だんだん人通りが少なくなって
ついたのは
目を疑うほど
絵に描いたような家だった
ジョングク「A(泣)」
Aサイド
もしかしたらジョングクが
私を探してくれているかも
そんな期待を裏腹に
来ないでほしい
もう勘違いさせないでほしいと
思った
そしたらさ
鳴っちゃったの
他の家とは比べ物にならないくらいの
綺麗な音色を奏でる
インターホンが
ジョングクじゃない
そう言い聞かせながら
ドアを開ける
A「…はい、誰です…なんでっ(泣)もうやめてよ」
ジョングク「Aっ(泣)」
ジョングク「Aずっと…会いたかった(泣)」
A「なんでっ突き放したのはあなたの癖にっあなたも泣いてんのよ(泣)」
ジョングク「Aがいなくて辛くてっ生きてる心地がしなくてっうぅ(泣)」
A「泣かないでよっ」
するとジョングクが涙を拭って跪いた
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作者名：りんごほっぺ | 作成日時：2022年6月12日 15時
