ロマンスな出会い【梅原裕一郎】 (ページ39)

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いつかページ39

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結論から言うとお母さんもお父さんも同棲していることに関しては反対も賛成もなくてお互いの一番良い形で幸せになりなさいとの事だった。

それからは梅原さんが「結婚も視野に入れさせて頂いています」という話をしてくれた。正直この話は初耳だったから少しびっくりしたけど嬉しくもあった。

帰りの車内では特になにも会話は生まれなかったけど、寝る前にこの話題になった。

「Aはさ、仕事ずっと続けたい？」
『んー…続けたいとは思いますけど、お母さんみたいに家族を支えるのとか素敵だなって思います』

今まで知らなかったけど、お母さんは昔、お父さんと同じ職業に就いていたらしい。上司のお父さんが彼氏って言うことは何かお母さんに得するようなことがあったときに贔屓だと思われてしまうと思って退職したと話してくれた。
この時初めて、あの日お母さんに言われた言葉の意味が分かって納得出来た。

『役者さんも大事ですけど、家族が一番です』
「そっか」
『梅原さんは？もしいずれ結婚ってなった時、私は働かない方がいいですか？』
「俺はそう思うかな。なんか家族と役者両方って難しいじゃん」
『え、でも梅原さんだって仕事しながら家族のこと考えたりしなきゃいけないですよ』
「それが俺の役目だからね」
『そっか…』

だったらせめて、子どもが産まれるまではこの仕事をしていたいな。そう思った。
遠い将来の話かもしれないけど、いつかそんな日がくるといいな。
ベッドに寝転んでそんなことをつらつら考えていたらいつの間にか眠っていた。

朝起きて隣を見ると梅原さんがいなかった。

『あれ…休みだから起きたら俺も起こしてって言ってたのに』

リビングに行ってもいない、洗面所も、トイレも、キッチンにも。

スマホを見てもなんの連絡もない。共有のカレンダーには「おふ」と書いてるだけで他には何も無い。

『どこ行っちゃったんだろ』

昨日、ちょっと具体的な将来の話をしちゃったから「この女重いな」と思われてしまったんだろうか。
戻ってきてくれた時にすぐ『おかえり』と言えるように玄関で待つことにした。