なみだぼくろとオオカミ。（黄） (ページ43)

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貴『…』

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まだ昼ごろの今。

外には人があまりいなくて。

私にはあの二人しか見えてなくて。

…

なにしてるの？

あの子は？

あのー佐藤さん。

あの人は？

佐藤さんと手をつないだ日に一緒にいた女の人。

いつまで女の人で遊んでるんだ。

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貴『…もう知らない。』

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そんな言葉はあの二人に吸い込まれていくように消えていって、

頭の中はアイツのことでいっぱい。

ムカつく。

なんでこんなにもアイツのことを考えなきゃいけないんだ。

ほんとわけわかんない。

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ぐちゃぐちゃになった頭の中。

とにかく帰ろう

あの二人を追い抜かさないと家へ帰れないんだから、

追い抜かしてやろう。

早く、早く歩け。

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貴『…わ…っ！！』

『一人でいったらあかん。』

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誰かに後ろから手を引っ張られて腕の中へと収まる。

…力、強かった。

…手つかむの好きだね。

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貴『先輩。』

渋谷『あいつが錦戸か。行くぞ。』

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そのまま手をつないで、

あの二人のところへと向かった。

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