なみだぼくろとオオカミ。（黄） (ページ25)

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貴『…知らない』

大倉『なにが、』

貴『なんで泣いたのか、知らない。』

大倉『…』

貴『ただ、なんでかショックを受けて、

んで気づいたら泣いてた。』

大倉『…そっか。』

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なにに対してショックを受けたの？

ただなみだぼくろに心配されなかっただけで？

私も見たことのない笑顔を佐藤さんに見せてたから？

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もしそうだったらおかしい。

心配なんかされたこともないし、

つか、気づかれたことすらないし。

笑顔なんか女の子には、ほいほい見せてるはずだし。

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自分はなんで？

なんで涙なんか流したの？

誰のために？

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大倉『…寝とき？奥のベッドあいとるから。』

貴『…うん、のぞかないでね。』

大倉『のぞくか！笑』

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白いシーツに身をのっける。

…洗剤のにおいと保健室のにおい。

あ、寝そう。

意識もうろうとしてるもん。

よし。おやすみ。

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『…痛そうやなぁ…』

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誰かの手が頬のあざに触れる。

ズキッと痛みが走って思わず眉間にしわを寄せる。

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貴『…』

『あ、痛かった？ごめんな。つい。』

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目を開けると、知らない人の顔。

上履きを見たら

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『渋谷すばる』

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と、書いてあった。

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