−SIX ページ5
「あの子、ホントにサカズキが怒ってる理由分かってんのかねェ〜？」
「さぁ。でもあの血も涙もないサカズキががあの子を大切に思ってんのはマジなんだよなぁ。」
「そうだねェ。彼奴は愛情の伝え方がずっと下手くそだったからきっと伝わってねェよォ〜」
案外部屋は近いもので直ぐに着いてしまいます。
サカズキさんや、他の大将に合わせて作られた扉は自分にはとても大きく重厚に見えました。
その扉を二、三回コンコンとノックすると中から「入れ！」というサカズキさんの低い声がしたので重い扉に精一杯体重をかけて空いた隙間から身体を滑らせました。
背筋を伸ばして敬礼をするとサカズキさんは自分を怒鳴りつけました。
「おどれ！何やっとるんじゃ！」
部屋の温度が一気に上がったように感じます。申し訳ありませんと直角に頭を下げるとサカズキさんはより一層声を荒らげました。
「わしが今、何に起こっちょんのか分かっとるんか！」
その言葉にも自分は申し訳ありませんと返事をしました。
きっとサカズキさんは自分を見放すのでしょう。必死に手塩にかけて育てた駒が全然使えないことに呆れを抱いているのでしょう。
頭を直角に下げたままの自分を見てサカズキさんは「もうええ。帰れ。」と言いました。
扉を出る前にもう一度敬礼をしてから部屋を出ます。
ここから自分はサカズキさんと共に暮らしていた家を出て、寮に移り住みました。
もうサカズキさんは自分を褒めてくれなくなるだけでなく、話すことも無くなり、ただの上司と部下の関係になりました。
そうやって時間が過ぎていく中、ひとつの会議が執り行われました。それは火拳のエースが捕らえられたということが元帥より、伝えられ当人の処遇を決める会議でした。
話すことの無くなったサカズキ大将が声を上げます。
「海賊王の血は悪じゃけぇ。処刑一択ですけ。」
海賊王の血は悪。根絶やしにすることこそ正義。
その発言は満場一致で採択されました。歯を食いしばりながらも賛成に手をあげるガープ中将。彼は火拳のエースの祖父だそうです。
そこでも私は火拳は愛されていることを実感しました。
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野生の読者 - たまたま見つけて呼んだら涙が止まらなくなりました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年1月29日 8時) (
レス) id: 1db41eca25 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 現代で転生して幸せに成ってほしい自分がいる……… (2023年1月16日 22時) (レス) @page11 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナツこんばんは - 御二方、ご愛読ありがとうございます。その様に言って頂けて至極光栄です。主人公ちゃんとサカズキさんはやっぱり不器用だったんでしょうね。。皆様の言う通りこのままでは矢張り報われないので過去編が粗方終わった後幸せなifを作りたいと思います。 (2022年10月2日 23時) (レス) id: 1f40840f02 (このIDを非表示/違反報告)
那世(プロフ) - コメント失礼します。オススメで流れてきて、本当に良かったと思う作品でした。HappyENDかは分からないけど、最後に主人公ちゃんがサカズキさんに問いかけるシーン、とても心に来ました…幸せになって欲しいな (2022年10月2日 22時) (レス) id: a5cfbfd0e5 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - この子には普通に幸せになって欲しい… (2022年10月2日 17時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピーナツこんばんは | 作成日時：2022年9月25日 0時
