−TEN ページ1
私は祝福されて生まれた子ではありませんでした。
海賊王と娼婦の子供。しかも海賊王はきっと私のことなど知らないでしょう。
母はいつも私の顔を見る度に自分に手をあげました。母は海賊嫌いでしたが生きるためにとある小さな島で海賊相手に売春をしていました。
自分がまだ自分が海賊王の血を引くことを知らなかったころ、自分はどうしてこの人はここまで自分を嫌うのだろうと不思議でなりませんでした。
自分の髪は母の白鉛のような色と真っ直ぐで美しい髪とうってかわって夜を閉じ込めたような黒髪に軽くウェーブがかかっておりました。
それに母は自分の顔を見るだけで気が狂ったように泣き叫ぶのです。自分は母の家族を殺めた海賊の子供。それも海賊王の子供だと言って。
なので自分は布や紙袋で顔を隠しました。
自分が七、八歳の頃でしょうか。海賊との繋がりが大きかったこの島にバスターコールが発令され島は壊滅しました。
母は死ぬ直前に自分に呪いを吐きました。お前は海賊王の子供。穢れた血だと。お前は幸せになれない。愛されることも無い。そして苦しんで死んでしまえ。
そう言って死にました。
焼け野原になったこの島でフラフラと歩き回っていたとき当時中将だったサカズキさんに拾われました。
母から殴られても痛くないようにと磨いた危機感知能力が見聞色の覇気とやらでその能力をサカズキさんが見初めて自分を引き取ってくれました。
サカズキさんは顔を隠していた自分にひとつ、お面をくれました。これはサカズキさんの部下の巨人族の人が作ってくれたものだそうです。
自分はサカズキさんの元で日々海兵になるための訓練を受けておりました。死にそうになりながらも必死に生きようとする自分は酷くサカズキさんには滑稽に見えたかもしれません。
多分サカズキさんは自分を愛してはいませんでした。本当に母が言った通りです。
サカズキさんは滅法海賊がお嫌いで海賊を殲滅するために自分を強い海兵に育ててくれたのでしょう。
其れが功を成したのか自分は海軍に入ってからメキメキと階級を上げ、二十八歳にして中将となり、サカズキさんが望んだ通りに海賊を徹底的に排除していました。
沢山検挙するとサカズキさんは「ようやったのお」と軽く頭を撫でてくれます。
きっとそれには何の意味も込められていなかったのでしょう。ですが自分は其れがどうしても嬉しくて日々海で海賊をひたすら検挙していました。
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野生の読者 - たまたま見つけて呼んだら涙が止まらなくなりました。素敵な作品をありがとうございます。 (2023年1月29日 8時) (
レス) id: 1db41eca25 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 現代で転生して幸せに成ってほしい自分がいる……… (2023年1月16日 22時) (レス) @page11 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナツこんばんは - 御二方、ご愛読ありがとうございます。その様に言って頂けて至極光栄です。主人公ちゃんとサカズキさんはやっぱり不器用だったんでしょうね。。皆様の言う通りこのままでは矢張り報われないので過去編が粗方終わった後幸せなifを作りたいと思います。 (2022年10月2日 23時) (レス) id: 1f40840f02 (このIDを非表示/違反報告)
那世(プロフ) - コメント失礼します。オススメで流れてきて、本当に良かったと思う作品でした。HappyENDかは分からないけど、最後に主人公ちゃんがサカズキさんに問いかけるシーン、とても心に来ました…幸せになって欲しいな (2022年10月2日 22時) (レス) id: a5cfbfd0e5 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - この子には普通に幸せになって欲しい… (2022年10月2日 17時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピーナツこんばんは | 作成日時：2022年9月25日 0時
