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せめてでも、可愛くしたかった。
ずっとお母さんのお下がりだった浴衣にごめん!今回は新しい浴衣にするね!って謝って。
浴衣を新調して、
紺色で、紫陽花の絵が散りばめられてて、帯は黄色。
髪飾りと痛くならないようにと新しい下駄。
浴衣に合わせた巾着袋。髪をアップにして。
今日の私はとびきり可愛いんだから!って鏡の前で自分を褒めた。
でも、内心めちゃくちゃビビってて…
お前らしくねぇな、なんて言われたら私はまた笑って誤魔化せるかな?
花火会場に向かうまでの道中、何度も何度も自分をチェックした。
着く直前にこの日の為に買ったグロスを塗って。最高に可愛くおめかしした私の完成。
携帯を確認すれば照からのメッセージ。
[着いた。どこ?]
[私も今着いた!ここにいるよー。]
目印となりそうな出店の写真を撮って照に送る。直ぐにつく既読。
もうすぐだ…心臓がドキドキとして、胸が苦しい。
「A」
人混みの中。誰かに手首を掴まれた。
「…え?な、んで。」
私の名前を呼んで手首を掴んだのは照。直ぐに離される。
でも、私の知っている照じゃ、ない。
「別に」
「…浴衣…照…」
浴衣姿の照だった。大人っぽい柄の浴衣を着ている照は一段とかっこよくて、言葉が上手く出てこない。
「行くぞ。」
そう言って私の手を繋いだ。
照の顔が赤く見えたのは気のせいかな?
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作者名:とぅーか | 作成日時:2020年7月4日 10時