. ページ38
.
「まぁ、分かんなくていいよ」
そう言って煙を吐いて笑うふっかの顔が怖いほど綺麗だった。
ふっかが分からなくていい、と言うならそれでいい。
私はもうこの男に堕ちてしまったのだから。
やっぱり動かない身体。夕バコを消してまだ苦味の残るキスを私に落とした。
ベッドから起き上がらない私の隣に倒れ込むようにふっかが仰向けになって寝転んだ。
手にはタバコを持ったまま。
「なぁ…A」
「ん？」
少しづつ感覚の戻ってくる身体。
私は隣に寝転ぶふっかに身体を寄せた。
ひやり、とするその身体は白くて今にも消えてしまいそうだ。
「俺、今日誕生日なんだ」
「え、そうなの？」
「うん。」
「…おめでとう。」
「あはは、久しぶりに言われた」
「俺、女の子に誕生日教えたのはじめて。」
身体を起こして私の頭を撫でながら少し寂しそうな表情。
「ふっか、好きだよ。」
「…ありがと」
「最高な誕生日プレゼントじゃん。」
私の伝えた気持ちに応えてくれないのは分かっていた。
だけれど今まで見た表情の中で一番人間らしくて優しそうな顔をしたふっかだった。
「もっともっと俺に堕ちちゃえよ」
そういった顔はもう悪魔の様な笑みで
私はもう戻れないほどこの男に堕ちている。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いゆ。(プロフ) - いつも読ませていただいてます！Twitterもなくなってて作品なども消してしまうということでしょうか？とぅーかさんの作品すごく大好きなので残してほしいです(T . T) (2020年6月6日 23時) (
レス) id: 445ed91cab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とぅーか
| 作成日時：2020年5月20日 21時
