アイを探しに (ページ16)

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「あ、来たー！A！こっち！」
「アイ先輩～」

駅前の居酒屋街。ガヤガヤとうるさい中に私たちの声が響く。
二個上のアイ先輩はギャルで見た目は派手だけど
年下の私を可愛がってくれる先輩。

「どーもー初めまして。Aちゃん」
「あー深澤先輩。初めましてってゆーか私は知ってましたけど」
「え？そうなの？俺有名なの？」

「お前チャラいからな！」

アイ先輩と深澤先輩のやり取りに笑っていたら突然頭の上に重みが来てビックリする。

「おー、翔太遅せぇよ」
「数分じゃん。な？A？」

そう言って私の顔を覗くその人は昨日何時間も電話して仲良くなった人。
ちゃんと会うのは初めてなのになんか変な感じ。

「遅いよ」
「んだ、お前までふっか側かよー」
「あはは、翔太ごめん。」

頭の上に置いてあった手が私の頭をくしゃくしゃする。
もうやめてよーって言えば髪を手ぐしで直してくれて可愛いな、お前。って。
ぐ、と胸の奥が軋んだ。

「じゃあー酒飲も～」
「アイマジで酔うとダルいからAちゃん覚悟したほうがいいぜ！」
「あー大丈夫です。慣れてるんで」
「てか俺に敬語やめてよ！翔太は呼び捨てタメロなのに、なんで！」

「俺はいいの」

私の肩に腕を回す翔太。
香る香水が鼻を掠めてふふ、と笑ってみせる。

やっぱり今の私にはこの感じが丁度いい。
何も考えなくて楽で楽しくて
暗い事なんて考える余裕ないくらい楽しい事をしてくれるこの環境が。

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