抱き締めてください，太宰さん

4.異能力と別れ ページ4

ポートマフィアに入った。

結局火傷で左目は失明，左腕と顔にも結構傷が残った。
逆に，それ以外の場所は殆ど無傷で綺麗な儘だった。


それなりに実績を積み，段々組織に認められ，幹部補佐にまでなった。

首領が私を組織に入れた理由，それは私の異能力だった。
私の家族を解剖してみると，皆，死んでから15分程心臓が動いていたらしい事がわかった。
私には，死者を15分だけ生き返らせる能力があった。

首領には，口外せぬ様に，と云われていたから，誰にも云った事は無い。



自分の仕事と並行し，私の家族を殺した奴も探した。

かなり難しかったけれど，数年掛けて，漸く見つけた。

こっちの世界では名の知れた暗殺者だったらしい。

そいつを殺す計画を立て始めた頃。


太宰が，ポートマフィアを抜けた。


太宰に友人がいることは知っていた。
でもその人について，彼に聞いた事は一度も無い。

私のような人間が立ち入ってはいけない禁域の様な気がしたから。


その友人が，死んだらしい。


それを機に，太宰は光の世界に行った。

―――――Aも，一緒に来るかい？

太宰の言葉が甦る。

あの時，若し私がはい(Yes)，と答えていたら？


私は復讐なんかしないで，太宰と同じ光の中に居たんだろうか。

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