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番外編 if.2 ページ18

探偵社から出てきた太宰が,彼女を呼び止める。


「ねえA,生きているのかい?」


「……」


振り返った彼女が,目を細める。


「君,死んだって森さんから聞いたよ。
 私が組織を抜けた,一か月後に」



「嗚呼,死んでなんかいませんよ。
 あれは,貴方が心置きなくマフィアを辞められるように森さんに頼んで吐いて貰った嘘です」


「じゃあ君は今もマフィアに?」


「ええ。他に行くアテもありませんから。
 貴方が組織を抜けてから,私は首領の側近として仕事を遂行してきました」



太宰が,何かを考え込む様に俯く。

そして顔を上げてから云った。



「A。
 武装探偵社に,入る気は無い?」


彼女は一瞬驚いたように目を見張った後,冷めきった声で答える。


「は? 何云ってるんですか?
 無いに決まっているじゃないですか」


「今の仕事は関係ない」


「判っています。
 でも,無理です。
 私はポートマフィアの構成員です」



でも,と口を開きかけた太宰に,彼女は畳み掛けるように云う。



「私の血は黒です。
 私が探偵社に入ったところで,何になるというんですか?
 ではこれで。さようなら」


身を翻した彼女の背中に,太宰は言葉を投げかける。


「A!
 君が望むのなら,武装探偵社は何時でも社員募集中だから……。

 あと……。
 また,明日も会いたい」


彼女は逡巡するような仕草を見せてから,頷いた。


「わかりました。
 では。また明日」


今度こそ彼女は歩き出す。




「……。
 貴方は十分,光に染まりましたね」


彼女がボソッと,付け足すように呟いた。

その声は誰に届く事も無く,風に吹かれて消えていった。

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SEA(プロフ) - 村人Cさん» コメントありがとうございます。全然更新してなくて本当に申し訳ないです……。頑張ります! (__) (2023年2月10日 23時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)
村人C - 更新楽しみにしてます (2023年2月9日 22時) (レス) @page23 id: 5242a52298 (このIDを非表示/違反報告)
SEA(プロフ) - 南無いちさん» コメントありがとうございます。おかげさまでめっちゃ頑張れそうです笑 これからもよろしくお願いします! (2022年12月27日 16時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)
南無いち(プロフ) - 切ないのに甘くて最高です!!!if編も読めるなんて感激です!!更新楽しみです!!頑張って下さい!! (2022年12月27日 16時) (レス) id: b659a75de8 (このIDを非表示/違反報告)
SEA(プロフ) - エリスさん» コメントありがとうございます。最近更新できていなくて申し訳ないです……。良いものが書けるよう頑張ります。 (2022年12月27日 12時) (レス) id: 40e007873e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SEA | 作成日時:2022年11月26日 12時

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