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「……っあ!は、はじめまして、ですよね?」
河井さんの隣にいた彼に、声をかける。
「はい!はじめまして、稲田です。
河井さんとコンビ組ませてもらってます。」
「はじめまして、佐原です。
すみません、わたしお笑いとかに限らずいろいろ疎くて…」
こんなインパクトある人、見たことあったら覚えてるはずなのに知らないし。
彼らのコンビ名も知らない。
ポスターに河井さんを見つけた時は、その衝撃が強すぎて他は何にも、見ていなかったし。
だから、あの時一緒に写ってた和牛も見てなくて、信二さんと川西さんが相方なのも気づかなくて。
我ながら余裕なかったんだなあって思う。
「こいつら、アインシュタインってコンビやから。」
疑問が丸見えの顔を見て察したのか、
信二さんがすぐに教えてくれる。
「信二さん、劇場いきたいから自分たちのと一緒にチケット手配してくださいよお、」
「はあ?自分でやれって。簡単なんやから」
「ケチー!じゃあやり方くらい教えてください!」
わたしの要望を無視してお酒をすすめてる信二さんをじとりと見つめて。
あらためて偶然だらけにびっくりする。
私は元々河井さんのお隣さんで、
大阪時代のバイト先の常連さんが信二さんで、
たまたま拾った携帯の持ち主が川西さん。
川西さんと信二さんはコンビだし。
「今度、同期と収録終わりにメシに行こうと思ってて。
まなちゃんのお店、来週貸切の日作ってくれへんかな?」
そうだ、たしかここ二組は同期。
「みなさん、同期なんですか?」
「稲ちゃんは後輩。ここ三人が大阪の養成所の同期なんよ」
やっぱり優しく返してくれた川西さん。
ピンポイントで誰に相談してるんだ、私。
じゃあ、私の話を聞いた時も。
きっとこの人は全部わかってて、この場を設けてくれたんだろう。
お人好しなんかじゃないって言った彼が、私にも、おそらく河井さんにも言わなかった、
その本心だけは、よくわかんないまま。
笑顔に仕舞われてしまった気持ちは、ひとつも読み取れなかった。
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きゃめ(プロフ) - HanNAさん» わー!ありがとうございます!長々引っ張ったけど花火のシーズンに終われてよかったかなって思ったりします笑 りんご飴いいですよね!食べるたび妄想に使ってもらえたら嬉しいです^_^ (2021年8月17日 12時) (レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - きゃめちゃんおつかれさまでした…!リンゴ飴食べたくなっちゃいました☆ (2021年8月16日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃめ | 作成日時:2020年10月14日 17時