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「勇気や理由がなきゃ動かれへんような気持ちなん？」
「え？」
「らしくない、って言葉で追い詰めたいわけやない。でも、もしそんな中途半端に遠慮とかしてるんやったら、
突然、抱き締めたりすんなって」
思ってることと言ってること。
理性と建前。
全部ちぐはぐで、中途半端。
会いにいけないとか思っときながら、初対面で抱き締めてんねんな、２回も。
「なんか、怖かったんかもしれんなあ、」
「それこそ、らしくないわ」
そう言って笑った賢ちゃんは、
なんか言葉にはし難い表情で、
目線はもう合わなかった。
本音は全部その貼り付けた笑顔に隠してしまって、結局なにを考えてるか、昔からよくわからない。
「あの席を設けてくれたのも、知ってたからなん？」
「それは、俺のこと買い被りすぎやで」
さらりと避けられてしまった直球の質問は、結局答えにならないはぐらかしで終わるし。
でもきっとそれが、賢ちゃんなりの優しさ。
俺は水田の時といい、今といい、背中を押してもらってばかりで情けない。
失うのが怖くなるくらい、欲しくなったのもはじめてのこと。
少しずつ惹かれていく恋愛も、勢いに任せた若気の至りも。
この歳になればそれなりに経験してきたけれど。
こんなに欲しくてたまらないのは、なんだか自分らしくないし年相応でもなくて怖かった。
自分の気持ちも、環境もなにも追いついていないのに
焦がれるその本能のようなものだけが先行して君を捕まえようとする。
らしくない自分以上に、誰かのものになってしまうほうが怖かった。
それなら、もう考えるのはやめて。
建前や周りのことは一旦横に避けて、
気のせいではないはずの、互いに惹かれ合う気持ちだけに、
正直になってみようか。
「世話かけてわるかった」
「俺、高いで」
ニヒルに笑った賢ちゃんと一瞬合わせた目線。
きっとこれ以上は言葉にしない謎ばかりの同期の本音は、その瞳の奥に一瞬見えたけれど。
それを見られることも、公にすることも望まないんだろうから。
俺の背中を押したことを、後悔させなければいいんよな。
「出番、いってくるわ」
「いい報告、待ってんで」
なにやってんだか。
そう小さく呟いた賢ちゃんの独り言は、空になった空き缶がゴミ箱に滑り落ちる大きな音にわざと掻き消した。
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きゃめ(プロフ) - HanNAさん» わー！ありがとうございます！長々引っ張ったけど花火のシーズンに終われてよかったかなって思ったりします笑 りんご飴いいですよね！食べるたび妄想に使ってもらえたら嬉しいです^_^ (2021年8月17日 12時) (
レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - きゃめちゃんおつかれさまでした…！リンゴ飴食べたくなっちゃいました☆ (2021年8月16日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃめ | 作成日時：2020年10月14日 17時
