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「お隣さん、やってん。
顔も見たことなくて、声だけ知ってた。
でも俺は、そのやりとりだけで、彼女に惹かれてた」
自分でも、おかしな話やって、思うんやけど。
ぐしゃりとお馴染みの顔で笑った顔は、眉根が下がって、いつものゆずるは跡形もない。
「うだうだしてる間に、いなくなってしまって。
ずっとずっと、探してた。
たった一度見た、月明かりと小さな街頭に照らされた輪郭と、名字だけを頼りに。」
御伽噺のようだと思った。
本当は、もっといろんな偶然に引き寄せられてこいつらが再会してたってことを俺は知る由もなかったのだけど。
「ゆずるにしては、夢見心地ならしくないこと言うねんな」
「自分でも、びっくりしてる。」
ちょっとおちょくるつもりで言ったのに、今度はふわりと幸せそうに笑ったゆずるは、あの日カウンターであいつに酒を渡した時と同じ顔をしていた。
4人で店に来たはずなのに、自分たちしかいないみたいな空気作って。
何度遮ったって、Aは見たことない顔でその瞳にゆずるばかりを映していた。
このイライラする気持ちは、なんだって言うんだろう。
これがもし嫉妬なのだとしたら、それは妹みたいな存在を取られるかもしれないから?
きっと、理由は別にあるのだろうけど。
気付きたくなかったし、
きっと気付いたところで遅いのだから。
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きゃめ(プロフ) - HanNAさん» わー!ありがとうございます!長々引っ張ったけど花火のシーズンに終われてよかったかなって思ったりします笑 りんご飴いいですよね!食べるたび妄想に使ってもらえたら嬉しいです^_^ (2021年8月17日 12時) (レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - きゃめちゃんおつかれさまでした…!リンゴ飴食べたくなっちゃいました☆ (2021年8月16日 18時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃめ | 作成日時:2020年10月14日 17時