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「A……!」
意識が飛ぶ直前、目の前に光でがチカチカする。
霞む視界の中で、全て手放したら楽なんだろうなと思った。
抱き留められた体は、予想に反して地面に叩きつけられることなく、痛さも、ない。
「かわ、……い、さん……」
息の吸い方も吐き方も見失って、
酸素を失った思考はどんどん滲んでいく。
「Aちゃん、とりあえず、息吐いて」
背中を上下する掌は、おっきくて、あったかい。
言われても息が吐けなくて、呼吸はどんどん乱れていく。
「…っは、っ、……は」
「紙袋……ふくろ、ない………か。」
抱き留められてる体は、あったかくて。
酸素が抜けていく自分の体温は、比例してどんどん下がっていく。
「Aちゃん、袋持ってくるから」
背中を摩る掌は、一定の速度のまま止められることなく往復したまま。
苦しさからか、目の前の彼の服を握りしめる。
生理的にこぼれ落ちた滴が頬をつたう。
「……っ、……Aちゃん、ごめんな………」
小さく、やさしく呟かれた言葉を追いかけるように。
重ねられた唇は、ひどく、冷たかった。
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きゃめ(プロフ) - さゆさん» さゆさんコメントありがとうございます!書いててしんどいんでもっと幸せな話にすればよかったと思いつつ、お声がけいただける言葉でなんとか書いております!どうぞ最後まで見届けてやってください!いつもありがとうございます◎ (2020年8月24日 10時) (レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ - いつも更新お疲れ様です!!ここまでの展開、思いを上手く表現できず何とも言えないもどかしいですね、、きっと良い方向に向かってくれると信じて最後までしっかり見届けたいと思います!更新大変だと思います、無理はなさらないでください( ; ; )応援しております◎ (2020年8月24日 1時) (レス) id: a45b2e5612 (このIDを非表示/違反報告)
きゃめ(プロフ) - メイさん» 泣かせてしまったでしょうか…今日はもう少し続きを更新しましたが、あんまり現状は変わってないですね…ちゃんとお互いの気持ちが通じればいいんですけど。もうすこしまっててあげてください。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
メイ(プロフ) - 泣きそうになりました。ホントに上手くいかないですね、、でもあの場面をみたら誤解しちゃいますよね。誤解だと分かれば良いな。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 24f8e2afc7 (このIDを非表示/違反報告)
きゃめ(プロフ) - メイさん» 上手くいかないですよね…川西さん、気持ち素直に動いてくれたんだけどな…どうぞこの後も見守ってやってください。メイさんいつもありがとうございます。 (2020年8月22日 9時) (レス) id: e2386f9ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃめ | 作成日時:2020年8月16日 9時