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ーAsideー
『行かないで…ください』
情けない声が出た。
本当にこの声が自分のものなのか疑ってしまうほど情けない。
「じゃあドア開けておいてもいいから。僕の姿が見えてればいい？」
『うん』
ウタさんは後ろを向いてその場に体育座りし、膝の間に頭を置いた。
紳士だ。
私はありがたくシャワーを使わせていただき、温まった体が冷める前にバスタオルで包んだ。
『あ、着替え』
「あ、持ってくる。ちょっと待ってて」
ウタさんは振り返らずにパタパタと洗面台から出て行ってしまった。
行かないっていたのに。
…数分後にウタさんは何枚か服を持ってきてくれた。
「着られそうなの着て。Aちゃんの服干しておくから」
『…ありがとう』
だっぽりとした服に身を包む。
ウタさんは私の濡れた服をハンガーにかけて干してくれた。
「そこ座ってて。珈琲淹れてくる」
いらない。そう言おうとしたが口をつぐんだ。
『ありが、とう』
ウタさんの善意ある行為を妨げてしまうのは申し訳なかったから。
それにウタさんが入れる珈琲好きだし。
さっきまで寒さで縮こまっていたため、体が軋む。
少し伸びをすると、服に液体が滲んだ。
『…？』
服を見ると、赤黒いシミ。
やってしまった。さっき走ったし、シャワーも浴びたし、血行が良くなっちゃったんだ。
どうしよう。
「おまたせ」
ウタさんは鼻をひくつかせた。
「怪我してる？…あ、」
『ごめんなさい』
「いいよ。手当しようか。って言っても、救急箱があるかどうかすら怪しいんだけどね」
『ほっとけば治るから大丈夫』
「そう？」
『服は洗って返します』
「別にいいのに」
首を横に振った。
ウタさんの渡された珈琲をすする。
『美味しい』
「ほんと？よかった」
ウタさんは私の正面に椅子を持ってきて腰掛けた。
特に何も言わず、私と同じように珈琲をすすっているだけだった。
私が話し始めるの待っててくれてるのかな。
『あの、』
「ん？」
『ウタさん、私の家行ったことあるんだよね』
そうだ。修学旅行の時、ウタさんが送ってくれた写真。
あれはうちのリビングに飾ってあったやつ。ってことは……
「あるよ」
『そうだよね。ウタさんは私の親と何か関係があるの？四方さんはお父さんと友達だって言ってた』
「昔はよく喧嘩してたかな」
『そうなの？』
「あっちは覚えてないかもしれないけど」
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mh - いつもクオリティの高いお話をありがとうございます！応援しています‼ (2022年2月23日 1時) (
レス) id: 6608c57345 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - ミライアルさん» ありがとうございます！更新ペース上げられるよう頑張りますね！！ (2019年4月20日 19時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
ミライアル(プロフ) - うぉー！なんか続きがめっちゃくちゃ楽しみっす！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年4月20日 13時) (レス) id: b0af308e1c (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます！！よかったです！倒れない程度に頑張ります！！ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - 第5弾おめでとうございます！ すごく面白かったです（＾_＾） 更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2019年4月2日 23時) (レス) id: 4b077ed0aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2019年3月24日 23時
