218:将来の話 ページ18
ー業sideー
『私たちがいなくなると人間社会は平和になるでしょ？』
俺はその問いにそんなこともないと思うけどという意味を込めて「うーん」と言った。
『そういうこと』
Aには意味を汲み取ってもらえなかったようだ。ま、訂正はしないけど。
人間社会に喰種がいてもいいと思ってるの俺だけかもしれないから。
でもみんなはAがクラスに残ることに賛成してくれてたな。一部反対と中立もいたけど…
結局は反対してた人たちも賛成してくれたし。案外喰種好きな人多いのかな。
『そういえば業は将来何になりたいの？』
Aからの急な質問に眉をひそめる。
「将来？」
『うん！』
「…喰種捜査官」
俺がつぶやくように言うと、今度はAが眉をひそめた。
『え？冗談？』
「本気」
Aの反応が見たかったと言う理由もあるが、
前から本当に将来は喰種捜査官もいいなって思うことが何度かあった。
給料良さそうだし、何より喰種と戦えるってところに魅力を感じたから。
『そっか。喰種捜査官……。じゃあ近い将来私と業は敵同士になるってわけね』
想像していたのとは違う明るい声にAを見ると、どこか嬉しそうに笑っている顔が映った。
「反対しないんだ」
『他人の夢に口を出せるほど偉くないから。それに、手加減しなくていいんでしょ？』
背筋がビリッと痺れる。ピリピリと刺さる空気。
見慣れているはずのAの瞳。それが一瞬で黒と赤に染め上げられる。
『修学旅行の時。…あの時業が噛ませてくれたよね』
体が動かない。でも怖いわけじゃない。
『想像してたよりずっと美味しかった。
業が喰種捜査官になって私に負けた時は血だけじゃなくて、肉も、内臓も食べさせてね』
あ、俺が負けること前提なんだ。
相変わらず動かない体。前に進むことも後ろに戻ることもできない。
それでも俺は答えた。
「いいよ」
Aはわかりやすく目を見開いた。
そしてそのでっかい目をわざとらしく細めて笑うと、俺の頭をポンポンと軽く叩いた。
この前イトナ君にも撫でられたな。
『じゃあ楽しみに待ってるね。業が早く実績を出して私と闘える日が来ますように』
そう言って瞬きをするA。
瞳の色は、俺ら人間となんら変わりない色に戻っていた。
その瞬間体に力が入り、動けるようになる。
目に不思議な力でも宿ってるのか？
それとも俺がおかしいだけ…？
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mh - いつもクオリティの高いお話をありがとうございます！応援しています‼ (2022年2月23日 1時) (
レス) id: 6608c57345 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - ミライアルさん» ありがとうございます！更新ペース上げられるよう頑張りますね！！ (2019年4月20日 19時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
ミライアル(プロフ) - うぉー！なんか続きがめっちゃくちゃ楽しみっす！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年4月20日 13時) (レス) id: b0af308e1c (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます！！よかったです！倒れない程度に頑張ります！！ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - 第5弾おめでとうございます！ すごく面白かったです（＾_＾） 更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2019年4月2日 23時) (レス) id: 4b077ed0aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2019年3月24日 23時
