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ーAsideー
[これは喰種の赫子を加工して作ったナイフです。
これをあなたの両親の心臓に突き立ててからお帰りください]
その紙をしばらく見つめる。
それからナイフを手に持った。
「なんて書いてあるの?」
『これで死体の心臓刺せって』
私が手に持ったナイフを見せるとウタさんは「ふぅん」と言った。
両親に歩み寄り、そっと頰を撫でた。
冷たい。
そしてナイフを床に放り投げる。
『死体なんだから心臓なんてとっくに止まってるでしょ』
ウタさんの隣に並び、行こうと声をかけた。
ウタさんは黙って私の後をついてくる。
私たちが部屋から出た後、またひとりでにドアは閉じた。だけどもう気にならない。
『ねぇ。どこで見てるのかはわからないけど、こんなことしてて楽しい?暇人だね』
挑発すれば出てくるかなと思ったけど、こんな軽い挑発は無意味だったみたいだ。
「…帰ろうか」
『だね』
日記と鍵を持って家から出る。
空は雲ひとつ無くなっていて、星が煌びやかに瞬いていた。相変わらずかけている月。
『ウタさん。いつも付き合ってくれてありがとう』
「ううん。また誘って」
私はHySyに戻らずそのままあんていくへと戻ることにした。
服のことなんてすっかり忘れていて、とにかく今はこの日記のことで頭がいっぱいだった。
誰にも見つからず自分の部屋に入り、内側から鍵を閉めた。
日記の鍵を開けページをはぐる。
[きょう はじめて につきを かきます。なにを かこうかな]
最初のページはこれで終わりだった。
[ありす が きょうも どこかにいっちゃった]
ありす?
[さいきん ありすと あそんでないなー]
[あそびたい。ひまだな]
[おとうさん、おかあさん。ありすを かえして]
ありすって誰だろう。
[ありすが かえってきた!!うれしいな。でもいつもとちがう。げんきがないの?]
日記の隅に四葉のクローバーばセロハンテープで貼られていた。
乾燥したそれは少し触っただけで崩れてしまった。
[ありすが へん。においがへん]
この日記のありすって子についてしか書いてないな…。
何かもっと重要なことが書いてあると思ったのに。
何ページか飛ばし、目についたものを見ていく。
[ありすは おクスリでおかしくなったみたい]
薬?
[今日、ありすの おいしゃさま が来てありすに注しゃを打った。
ありすが早く元気になりますように]
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mh - いつもクオリティの高いお話をありがとうございます!応援しています‼ (2022年2月23日 1時) (レス) id: 6608c57345 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - ミライアルさん» ありがとうございます!更新ペース上げられるよう頑張りますね!! (2019年4月20日 19時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
ミライアル(プロフ) - うぉー!なんか続きがめっちゃくちゃ楽しみっす!更新頑張ってください!応援してます! (2019年4月20日 13時) (レス) id: b0af308e1c (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます!!よかったです!倒れない程度に頑張ります!! (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - 第5弾おめでとうございます! すごく面白かったです(^_^) 更新、無理しない程度に頑張ってください! (2019年4月2日 23時) (レス) id: 4b077ed0aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:eye | 作成日時:2019年3月24日 23時