174・ ページ24
ーAsideー
起こしちゃった。
『ごめん』
「どうして謝るの？Aお姉ちゃんは何も悪くないよ」
『雛実、私…』
「泣いてるの？」
私は返事をする代わりに鼻をすすった。
「怪我、してる？」
『してないよ』
「そうなの？でも血の匂いがする」
『さっき鼻血でたからかな』
「鼻血でたの？」
『うん』
雛実はドアに向かって歩いてくる。
ドア開けちゃうかな。今開けられたら困る。
私の思いが届いたのか、雛実はドアの前で立ち止まった。
「チョコレート食べた？」
『え？チョコレート？』
雛実の意味不明な問いかけに思考回路が停止する。
それと同時に、ついさっきまで頭に重く暗くのしかかっていた考え事が全部吹っ飛んでいった。
「チョコレートってたくさん食べると鼻血出るんだよ」
雛実は「えっへん」とでも聞こえてきそうな声で、自慢げに話してくれた。
『っふふ、そうなんだ。でも雛実ちゃん？
お姉ちゃんは喰種なので、残念ながらチョコレートは食べられませんよ』
二ヒヒと笑うと、雛実は「そっかぁ！！」と大げさに驚いた。
「……お姉ちゃん」
『ん？』
「お姉ちゃんは、私を置いてどこかにいかない？」
『うん』
「絶対？」
『もちろん』
「…ふふ。よかった」
私は目元を袖で拭う。
『雛実。開けていい？』
「…うん」
そっとドアを開けると、雛実が心配そうな顔でしゃがんでいた。
私はしゃがんだままの雛実を抱きしめる。
『雛実』
「なぁにお姉ちゃん。苦しいよ」
雛実は最初こそ笑っていたが、だんだん静かになる。
雛実の肩が震えだした頃、雛実の手も私の背中に回っていた。
『雛実』
私はもう一度、確実に雛実の名前を呼んだ。
雛実は震える声を押し出して、「うん」と言った。
私は雛実と一緒にベッドに行き、布団を被る。
『今日は一緒に寝ようか』
「うん！」
私は雛実を抱きしめたまま目をつぶった。
両親を失ってから急に人肌が恋しくなるのは私もよく理解している。
私は悲惨な裏切り方をされたから両親が恋しいとは１�世盪廚錣覆い韻鼻�
雛実はこれでもかってくらい愛されてて、雛実も両親をこれでもかってくらい愛してる。
そこには私が立ち入れない絆があって、私はそれを十分に理解しているつもりだけど、心のどこかではリョーコさんや雛実のお父さんの代わりになれたらいいなって思ってたりする。
今日も欲望まみれな私です。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます！ウタさんいいですよね！！頑張ります！ (2019年3月24日 0時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - とっても面白いです！！私ウタさん大好きなので本当にはまっちゃいました！これからも更新楽しみに待っています！！頑張って下さい！！ (2019年3月23日 21時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - みっこさん» ああありがとうございます！！！嬉しい限りです！戦闘シーンってどう書いたらいいのかわからず毎回更新詰まってます…。申し訳ないです！できる限り頑張って更新しますのでお待ちくださると嬉しいです！！ (2019年3月22日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - この小説気に入っていて何時も見直して更新楽しみにしています！少しずつ更新頑張って下さい！ (2019年3月21日 22時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 東條うたさん» ありがとうございます！すっごく嬉しいです！！そうですね！健康第一(？)なので無理しすぎない程度で頑張っていけたらなと思います！ (2019年3月13日 14時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：eye | 作成日時：2019年2月22日 0時
