47:貴方のための ページ47
ー金木sideー
今日から本格的に始まった特訓。
『泣いてもやめないよ』
冷たい声に、背筋がゾクッとする。
Aはたまに、自分の世界に迷い込む。
「うん」
迷子になって、そのまま出てこられなくなってしまわないように、
「お願いします」
『うん』
僕が強くならないと…。
『まずは赫子を使わない。いい？』
「はい」
『金木さんは私からの攻撃を躱すか受ける。それだけでいいよ。
受ける場合はちゃんと自分を守ってね』
Aは地面を蹴った。
『まずは蹴りっ！！』
「っ」
なんだこれっ、早すぎて躱せない。
両手で受けるので精一杯だ。
Aの細い脚からは想像できないほどの力が僕の両腕にかかった。
ビリビリと痺れる。
そんなことは御構い無しに、Aは僕に仕掛けてくる。
『反対』
「うっ」
さっきよりも強くないか！？
痛い。でも、耐えられないほどじゃない。
『うーん。ちゃんと受け止められてるけど、この程度で両手は使わないほうがいいな』
Aは首を傾けて言った。
「この程度…」
『今はまだいいよ。片手で受け止められるように筋トレとかしていけばなんとかなるから』
「うん」
『じゃあ次は、金木さんが攻撃する番ね。本気でやっていいよ』
余裕そうに笑う。
まあ、実際も余裕なんだと思うけど。
僕は今の自分の精一杯を出した。
それでもAには届かない。
同じようにやってるだけなのに、どうしてこんなにも違うのか。
やっぱり経験？
『金木さんは練習量が足りてないね。今までやったことないでしょ？こんなの』
「うん」
『格闘家か喰種くらいじゃないかな。格闘家はイメージだけど。
まずは筋トレして体作ったほうがいいね』
「はい」
『赫子は今から使い慣れておいたほうがいいから、今日はちゃんと練習するよ』
「でも、出し方とかよくわかんなくて…」
『その件に関しては大丈夫。ちゃんと方法があるから』
なんだ。よかった。
と、安心していたのが間違いだった。
「グフっ！！！」
肺から空気が無理やり押し出され、むせ返る。
「な、何すっ」
『本当の戦いでは、相手は待ってくれないよ。不意をつける瞬間をいつも探してる。
この地下で私たちは敵同士なの』
それを忘れないで。
緊張と恐怖で目が乾く。
僕が瞬きをした、その一瞬の間に
『金木さん、死 ぬかもね』
うすら笑みを浮かべた悪魔が立っていた。
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eye(プロフ) - 悠李さん» ご指摘ありがとうございます！気づきませんでした…！訂正します！ (2019年8月4日 19時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
悠李 - すいません、11ページの「一部始終」というのは全てみていたと言う意味になるので正しくは「一部」だと思います…！ (2019年8月4日 18時) (レス) id: 9118a43d0b (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» えぇありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！！ (2019年3月25日 15時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
うにゅ( 'ω' )(プロフ) - eyeさん» うわ考えられてる！！！尊敬！！！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: aa182fc6be (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» トーカちゃんはラビットです！ラビットって書いたらバレるかな…と思ってカタカナで「ウサギ」にしてみました！ (2019年3月21日 12時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2018年4月11日 1時
