33:握手 ページ33
ーAsideー
そのあと倉橋陽菜乃は誰かのもとに行き、私も席に戻った。
そしてまた隣を見る。
業はまだ顔を伏せていた。
ため息が漏れる。
理由は明確だった。
業が顔を上げないから。
潮田渚に自分から謝るといいと言われた。
実は昨日金木さんにも同じことを言われていた。
だから謝ろうと思って今日ずっとチャンスを狙っている。
でもそれは一向に来ない。
どうにかして今日中に謝らなければいけない。
このなんとも言えない空気から抜け出すためには謝らなければいけない。
はぁ。
またため息が漏れる。
ー
ー業sideー
目がさめる。
もう放課後だった。
どんだけ寝てたんだ…。
教室をぐるりと見ると、ほとんどの人たちが帰っていた。
帰る支度をしようと立ち上がると、手に何かが当たる。
ノートの切れ端だった。
それは折りたたまれていたがなんとなく開く。
ー 放課後 校舎裏に来てください
東雲ー
「…もう放課後だし…」
夕方になるとまだ肌寒い季節。
あいつどんな服装だったっけ。
自然と早足になる。
校舎裏に着くと、誰もいなかった。
いたずら？それとも俺が遅かったから？
帰ろうとした時、バタバタと足音が聞こえる。
『うわ。あ、こんにちは』
東雲Aだった。
「自分から誘っておいて「うわ」って何？それに今はこんにちはじゃないし」
『ああ、こんばんわ』
「…挨拶はどうでもいいよ。早く帰りたいんだけど。用があるんでしょ？何？」
『謝ろうと思って』
「は？」
『昨日、あんな態度を取ってしまったこと。謝ろうと思って』
昨日…。喧嘩の話か。
『…ごめんなさい』
深く頭を下げた。
俺は黙って見ていた。
何も言えなかった。
恐る恐る上げた目には、涙が浮かんでいる。
「……。教室で謝ってくれればよかったのに」
そしたらこんな、気まずい空気にならなくて済んだ気がした。
『だって、寝てたんだもん……』
「は？」
『業が隣で寝てたからっ、謝れなかったの！！』
「…っふw俺のせいか。ごめん」
笑いがこみ上げて来た。
さっきまで無表情だったのがいきなり泣いて、今度は怒る。
それがなぜかツボだった。
『なんで笑ってんの』
「表情よく変わるなって」
なんだ。話してみると意外と楽しい。
ただのムカつく奴って思ってたけど違うのかもね。
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eye(プロフ) - 悠李さん» ご指摘ありがとうございます！気づきませんでした…！訂正します！ (2019年8月4日 19時) (
レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
悠李 - すいません、11ページの「一部始終」というのは全てみていたと言う意味になるので正しくは「一部」だと思います…！ (2019年8月4日 18時) (レス) id: 9118a43d0b (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» えぇありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです！！ (2019年3月25日 15時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
うにゅ( 'ω' )(プロフ) - eyeさん» うわ考えられてる！！！尊敬！！！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: aa182fc6be (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - うにゅ( 'ω' )さん» トーカちゃんはラビットです！ラビットって書いたらバレるかな…と思ってカタカナで「ウサギ」にしてみました！ (2019年3月21日 12時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eye | 作成日時：2018年4月11日 1時
