43話 とある少女と敗北者 ページ2
〈Aside〉
「あと、あと2枚…だけ────。」
そんな事をか細い声で言いながら、厨房の中央であぐらをかいている男の背中が目に入った。
酷く貧相な格好をしているのが人目見るだけで分かる。
明らかに近づきがたいオーラを発しているし……はっきり言って私も近づきたくない。
よく目を凝らすと、髪の上ではノミがプーンと飛んでいるようだった。
『誰、この人…？』
こんな汚い場所に未だ人がいるなんて考えてもいなく、少したじろんでしまう。
一瞬体が壁と擦り、音を立ててしまったかと焦るが、向こうは私が居ることに気づいていないようだ。
ほっ…と息を吐くが、やはりこの場所の居心地の悪さは変わらないわけで……。
それに、、、
『何かこの人からは、私の"嫌い”な感じがする。』
認識した途端、激しい衝動に駆られた。
極力音を立てないよう、かつ素早く出口を目指して駆け寄る。
わずか数メートルほどの距離が途方もなく遠く思える。
1歩ごとに背後から呼び止められるのではという恐怖を味わいながら、縺れそうになる脚をどうにか動かした。
『もう少し………！』
口の中で小さく叫び、だんだんと近くなる出口を見据える。
神様────。
心の奥で必死に念じながら扉に触れようと──
「オイ。」
突然、背後からドスの効いた声が響いた。
漏れそうになる悲鳴を必死に押し留め、ゆっくりと振り向く。
見ると男は、首だけを動かしてこちらに顔を向けていて、、、
「────ｯ!!」
その瞳を見て、私は背筋に稲妻が走ったような感覚に陥った。
なぜなら、その顔に見覚えがあったのだから──。
私がこの店の本質を知る原因となった男。
この場所で人の領域を超え、私の堪忍袋を切った男。
そして、私にかつて無い恐怖を植え付けた男。
名前は知らない。けど、この男を指す言葉は私にとって一つしか無い。
「……オーナー。」
「あぁ、お前は………『A』。」
以前のチャラい雰囲気が無くなり、完全に死んだ目をしてしまった男、オーナーだった。
なるほど、この男に抱いていた先程までの焦燥感にも納得がいく。
…て、客観的に見てもこの状況の打開策は見つからない訳で───。
今になって、何故この店に入ってしまったのかと後悔してしまう。
──もう遅いとは思うが。
ふと視線を逸らし、私はこの男が握っている物を見た。
『百円玉が…2枚、、、だけ？』
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マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。こんにちは！とても面白いです！もしよろしければボードで会話とかしたいんですがいいですか？お返事お待ちしています (11月21日 14時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - かるぴさん» 見て下さりありがとうございます！更新不定期ですが頑張りますね(´˘`＊) (6月5日 21時) (レス) id: 4c59bf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - めっちゃ面白いです…!更新応援してます！ (6月5日 15時) (レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリンチー - 入試、頑張ってください！！ (2020年2月25日 3時) (レス) id: 2a371154bd (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - ユーリンチーさん» ありがとうございます！！再来週が入試なので、終わり次第バンバン更新していくつもりです！ (2020年2月23日 7時) (レス) id: a6a42def20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アヤッカー | 作成日時：2019年3月3日 23時
