2章 18話 一次試験での腕比べ ページ7
急に掲げられた勝負内容に唖然とするしかなく、そのまま会話は続いてゆく。
「お、いいじゃん！よし、じゃあ10秒数えたらスタートな」
「いや、え、待っ」
「分かった！この地下通路を出るまでがリミットね！
__行くよ、A！走って！」
そう急かしてくるゴンと、横で既に「10〜」とカウントしだしたキルア。
彼は彼で猫のような面持ちになり、私の帽子をロックオンしたようだった。
何でいきなりっ！？という私の疑問は、口に出せる雰囲気にもう無い。最後のトドメのように背中を押され、自然と右足が前に出る。
振り向くと、いたずらっ子の顔をしたゴン__。
……もう腹を括るしか無いらしい。
「__ッ！わ、分かったよ！」
既に7まで数えられたカウントの声を背に、私は猛ダッシュをした。
階段コースへと突入した第一次試験で、皆ペースが落ちてきている頃。私はそんな受験者の横を一気に通り抜ける。「わっ」「え、速」という掠れ声を耳にしながら、もうそろそろ来るだろう少年達を危惧して走った。
別に帽子を取られたくないと、そこまで思っているわけでは無い。
「……っでも」
でも、なんか嫌なのだ。この勝負に全力で挑まないのは。
「A、凄い速さで行っちゃったね」
「__ぜーろ、と！ま、勝負だからな。
オレらが勝った時の勝利条件、考えとかねーとッと！」
少し伸びをし、キルアは右足を前へ出す。続く速度は言わずもがなだった。
「うん！だね！」と、少し遅れるも負けじと地を蹴るゴン。
余りある体力を全投入する様子に、周りの人達は圧倒されるばかりだ。
「もう少し前の方だな、アイツ。思ったより足はえーじゃん」
「うん！っていうより__」
ゴンの少し思わせぶりな言い様に、キルアは眉を顰める。
続く言葉に耳を傾けるが、それはゴンの「いた！！」に掻き消された。
目線の先に視線をやると、案の定ケープを羽織った少年の姿。
軽やかな身のこなしで階段をかけ上がる姿は、さながら小動物のようだ。
Aは後ろをチラッと伺うようにこちらを向く。
……パチッ
帽子の隙間から見えた碧眼の虹彩と見つめあうコンマ１秒。
その色に、こちらは闘争心を煽られる。
「うしっ、ゴン！左右で挟み撃ちするぞ｣
隣を走る少年とアイコンタクトをしようと減速した最中だった。
「いや、早いもん勝ちだよ！」
突然の裏切りにエ゛と間抜けな声が出る。
しかし、ゴンはこちらお構い無しでAとの距離を詰めた。
2対1から、いきなり1対1対1になった瞬間だった。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←2章 17話 一次試験での逢瀬
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - むぎちゃさん» ありがとうございます！この先のネタがしっかり固まったらまた更新を再開させていただきます！むぎちゃさんのような感想にいつも癒されてますー(*^^*)気分転換にでも読んで下さると幸いです。 (4月13日 13時) (
レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - とても面白かったので一気見しちゃいました（笑）良ければですが 、続きが見たいです！もちろん無理は良くないんですけど、いつか更新されるのを楽しみにしています！ (4月8日 1時) (レス) @page7 id: cc2beb923e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。はい！遅くなる可能性もありますが宜しくお願いします！🌟、アヤッカーさん！ (11月24日 21時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！マニ。さん！これからもよろしくです！ (11月24日 21時) (レス) @page6 id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。いえいえ！無理せずに休むのも大事です！これからも無理せず応援してます！アヤッカーさん！💝 (11月22日 20時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アヤッカー | 作成日時：2023年11月21日 16時
