2章 17話 一次試験での逢瀬 ページ6
「気のせいじゃない？だって僕達……
初対面だろ？」
いつになく自分の表情に気を使って、この言葉を発した。
不自然さはほぼゼロだったと思う。少しだけ、胸にチクリと痛みあったけど。
でもそんな孤独感の痛みより、1年ぶりに再会出来たことがたまらなく嬉しいのだ。
私の言葉にゴンは「そうだよねっ」と納得した様子になる。
やっとここで、この話題に一区切り着いたようだった。
……だって、虚しいもんね。
覚えていないって分かってるのに、2人の中に私がいた記憶を探すなんて。
自分の感情にも整理をつけ、もう一度帽子を深く被り直す。
ちょうど目前に上りの階段が見えた所だった。
「ここで脱落者は何人か出そうだね」
「ま、こんなんで脱落するならハンターはムリってことだろ」
「オレは平坦な道飽きてたから、ちょっとラッキーだよ！」
3人3色で続く道のりへの感想を言うが、スピードに変化は無い。
二人三脚のように息ぴったりとは言わないが、そこそこにタイミング良く進んでいく。
「__」
この肩の高さを合わせたような距離感がとても気持ちよくて、1人だけニマニマとしてしまった。
あぁ、平常心平常心。
気を紛らわせようと、隣のキルアの表情を盗み見てみる。
よっよっと階段を駆け上がっていても、汗1つ出ていない様子は、流石としか言いようがないだろう。
これで11歳なんだから、この世界の平均は侮れない。いや、2人が異例なだけかもしれないが。
私は、やっぱり少し疲労が溜まる。
基礎体力の向上は1年間みっちりと頑張ってきたつもりだし、それまでだって身体の管理には気を配っていた筈だ。
それでも、彼らと差がある。あるもんはある。
その事に、一瞬だけ不甲斐なさを思ってしまった。
__そんな時だ。
キルアの右手を走るゴンと、パチッと目があった。
それは少しだけ不自然な感覚。
だって、私はゴンの方に視線を向けてた訳じゃない。キルアの方をちらりと見た時に偶然目が合ったという感じ。
だから、状況からみて、多分だけど。
……ゴンの方が、ずっと私を目で追っていた事になる。
そう頭で整理出来たタイミングで、何事かゴンの口が呟いた。
「__と____った」
「え」
言葉の端々しか聞き取れず、首を傾げる他ない自分。
でも、それは気にしなかったらしい。
次いでゴンはキルアの方を向くと、「走るの飽きたならさ、こんなのどう！｣と、人差し指を立てた。
「ゴールまでに、Aの帽子をとった方が勝ちって勝負！」
何だその私が大変な勝負は。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - むぎちゃさん» ありがとうございます！この先のネタがしっかり固まったらまた更新を再開させていただきます！むぎちゃさんのような感想にいつも癒されてますー(*^^*)気分転換にでも読んで下さると幸いです。 (4月13日 13時) (
レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - とても面白かったので一気見しちゃいました（笑）良ければですが 、続きが見たいです！もちろん無理は良くないんですけど、いつか更新されるのを楽しみにしています！ (4月8日 1時) (レス) @page7 id: cc2beb923e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。はい！遅くなる可能性もありますが宜しくお願いします！🌟、アヤッカーさん！ (11月24日 21時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！マニ。さん！これからもよろしくです！ (11月24日 21時) (レス) @page6 id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。いえいえ！無理せずに休むのも大事です！これからも無理せず応援してます！アヤッカーさん！💝 (11月22日 20時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アヤッカー | 作成日時：2023年11月21日 16時
