2章 16話 期待 ページ5
ゴンのカラッとした明るい表情を受け、胸に温もりが宿る。
「君の名前は？」
何の気なしに重ねられる言葉。
だから、こちらも淡々と答えた。
「僕の名前は、A。ただのAだよ」
そう、無機質に声を発する。
私の言葉を咀嚼するように、ゴンは「__A」と一つ呟いた。
その様子に、自分は言い表せないようなもどかしい気持ちが胸の中を燻ってしまう。
「A、はじめまして！よろしくっ」
「__うん。よろしく」
私は帽子のほんの隙間から彼の顔をちらりと伺った。
少し素っ気ない私の態度の筈だが、彼は気にしないらしい。
そんな事よりも、私の頭を覆うハンチング帽に意識がいったようだった。
「ねぇA、その帽子取らないの？走ってて邪魔にならない？」
「え、うん。別に」
「でも顔見えないし、Aの表情が見えないよ」
「えと、、つまり？」
さっきから質問尽くしでこっちはびっくり、キルアもぱちくりだが、ゴンのブーストモードはまだ止まることを知らないらしい。
数秒の沈黙があり、その間は間違いなくゴンの次なる言葉を待ったものだった。
「だから帽子とってみてってこと！」
分厚めの帽子で遮られた私の表情を、ゴンはキルアを挟んで走っているにもかかわらず、思い切って覗き込もうとする。
…そのいきなりさに思わず肩を跳ねさせる私。
「ちょ、ゴンッ__お前邪魔だよ！」
並進して走りながら、身を左側に倒すなんて芸当中々出来ない。出来たとしても、しないのが大半だ。
前のめりになるゴンの顔面を右の掌で鷲掴みにし、元の位置へと後退させるキルア。
「あ！ごめんっ！」と軽い調子で首を引くと、ゴンは舌をチョロっと出して謝るのだった。
うん、まぁ可愛いけども。というか出会った頃より年が小さいと分かると……こう、庇護欲が沸く。沸かざるおえない。
だが、いけない。とよぎった雑念を、コンマ1秒の間にポーカーフェイスで隠した。
訝しげな目を向けるキルアを横目に、スピードは維持したままゴンへと顔を向ける。
「えっと、ごめんね。
なんかA、オレが知ってる匂いしてたからさ、もしかして知り合いかもって思って」
あはは、と自分の変な行動の理由を明かすゴン。
その言葉に私はびっくりだった。
「そうなのか？、お前ら知り合いかよ」
「いや、Aって名前は聞いたことないんだけどね」
「だ、だよね」
一瞬、ほんとに心臓が止まるかと思った。
なのに期待はさほどしていない自分が、頭の隅にはいるのだから変な話だ。
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h16ayakaアヤッカー(プロフ) - むぎちゃさん» ありがとうございます！この先のネタがしっかり固まったらまた更新を再開させていただきます！むぎちゃさんのような感想にいつも癒されてますー(*^^*)気分転換にでも読んで下さると幸いです。 (4月13日 13時) (
レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - とても面白かったので一気見しちゃいました（笑）良ければですが 、続きが見たいです！もちろん無理は良くないんですけど、いつか更新されるのを楽しみにしています！ (4月8日 1時) (レス) @page7 id: cc2beb923e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。はい！遅くなる可能性もありますが宜しくお願いします！🌟、アヤッカーさん！ (11月24日 21時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！マニ。さん！これからもよろしくです！ (11月24日 21時) (レス) @page6 id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。いえいえ！無理せずに休むのも大事です！これからも無理せず応援してます！アヤッカーさん！💝 (11月22日 20時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アヤッカー | 作成日時：2023年11月21日 16時
