2章 14話 遭遇 ページ3
体制を整えた後、自分のペースで走り出す。
先程走っていた中間の位置より遅れ、今は列の少し後方寄りだ。まだ体力に余力があるので、行こうと思えば元の位置には戻れるが。
「今は、もしかしたらお邪魔かもしれないし」
並んで走る2人の姿を脳裏に描く。
きっとそれは、とても微笑ましい光景なのだろう。
でも、そこに割入ろうとは思わない。
もう少ししたら戻ろう、と自分の中で結論を出し一定の速度で地を蹴った。
そんな時だ。
「へぇーーー♠」
とても粘つく、気味の悪い空気がこちらに向く。
「__、！」
いや、向いたでは無い。向いたというのはきっと少し前のことで、自分が気づいたのが今だったのだ。
だから、それ程までに彼の者は自分より格上なのだろう。
それが分かる。
そして、その、粘りが、吐息が自分の耳たぶにかかる。
「__頑張り屋だね♦」
殺される__。
無意識にそう思い、“カイトに習った方法”で距離を取ろうとした。
だが、そんな私に一瞥くれただけで、彼はどこか満足そうに頷く。そして口の端を緩めて
「瞬発力はもっと欲しいかな。
でも、ウン、及第点♣」
そう自分の中で得心して、こちらに笑顔を向けた。
そのあまりの変貌ぶりに脱力し、力張った肩を緩める。
けれど未だ胸の鼓動は収まらない。
一つ瞬きをして、視界の人物へと焦点を定める。
道化師のような顔の化粧と、そこに在る獰猛な瞳のギラつき。
その構成物全てが、彼の異質さの理由だ。
どす黒い赤髪に、ただただ目が離せない。
「僕が何をするか、まるで分かるような口ぶりですね」
「ウン♦」
目を狐のように細めてこちらを覗くピエロ。
見た目の強さを全肯定させてしまう姿勢だ。
「念、分かるでしょ♠」
いつの間にかバレていることは、この際どうでもいい。
ある種、自分の持ち札と言えるが、それは余裕のある時のみ思えること。
そして今は余裕のないときである。
同時に、私はカイトの言葉を思い出す。
『いいか、A。きっとハンター試験には念能力のことを知りながら参加するやつもそう少なくない。
そして、強者となればお前がオーラを体の内に留めていることも見抜くだろう』
ほんの一か月前に交わした会話だったが、これが存外的を得ていた。
つまり、カイトは正しかった。ただそれだけだ。
そう結論づけ、自分は相対する人物と視線を交差させる。
「いえ、分かりません」
今度はこちらが語気を強めて言葉を発した。
その私の姿勢に、何故かゾクリと体を震わせる道化師。
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h16ayakaアヤッカー(プロフ) - むぎちゃさん» ありがとうございます！この先のネタがしっかり固まったらまた更新を再開させていただきます！むぎちゃさんのような感想にいつも癒されてますー(*^^*)気分転換にでも読んで下さると幸いです。 (4月13日 13時) (
レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ(プロフ) - とても面白かったので一気見しちゃいました（笑）良ければですが 、続きが見たいです！もちろん無理は良くないんですけど、いつか更新されるのを楽しみにしています！ (4月8日 1時) (レス) @page7 id: cc2beb923e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。はい！遅くなる可能性もありますが宜しくお願いします！🌟、アヤッカーさん！ (11月24日 21時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます！マニ。さん！これからもよろしくです！ (11月24日 21時) (レス) @page6 id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。いえいえ！無理せずに休むのも大事です！これからも無理せず応援してます！アヤッカーさん！💝 (11月22日 20時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アヤッカー | 作成日時：2023年11月21日 16時
