30話 幼女伝記#5 ページ34
私とお婆ちゃんだけの生活は、とてもゆっくりと過ぎていった。
ただ、前と違う点というと、朝昼晩の食事が全て白ご飯とキュウリの漬物だけになった事と…
お婆ちゃんが週に一度、茶色の封筒を持ち帰るようになった事ぐらいだった。
後は、お爺ちゃんのお見舞いに行くこと。
それが、私達の大まかなスケジュールだった。
でも、ただ過ぎていく訳にはいかなかった。
今の………後悔した後の私になら分かる。
お婆ちゃんは"何か隠している”という事を───
前の私なら、目を背けていただろう。
『なんとかなるさ』と、意識から切り離していた事だろう。
でも、もう間違えれない。
間違えるわけにはいかない。
だから、私はお婆ちゃんの事を探った。
大好きなお婆ちゃんの事を調べた。
………1番気になっていた、茶色の封筒の中身を探った。
…
「お婆ちゃん、話があるの。」
「あはははうふふふ、、、はははは、、、」
「忙しい時にゴメンね、でも大切なはな「忙しくなんてないわよおぉぉ、、うふっっうふぶぶふ、、、」───そっか。」
お婆ちゃんは、麻薬に侵されてしまっていた。
…かなり、大量の。
話しかけても、話しかけても、もう名前さえ呼んでくれない。
結論から言おう………。
──あの茶色の封筒の中身は、お金だった。
お婆ちゃんは払えきれなくなった入院費や治療費を借金してしまっていたのだ。
それを知った時、私はお婆ちゃんに『止めて!!』と何度も何度も叫んだ。
お婆ちゃんの瞳が、私を移してくれるまで何度も何度も。
けれど、お婆ちゃんは聞く耳を持たなかった。
何故か………今なら分かる。
きっとお婆ちゃんは、借金をする代わりに麻薬を飲むように強いられてしまったのだ。
無理矢理に………。
今思えば、何度あの封筒を目にしたのだろう。
その数だけ、お婆ちゃんが麻薬によって蝕まれた事になる。
───どんなに辛かったのだろうか。
私は、お婆ちゃんが家を留守にしている間、ずっと家の家事をしていた。
これでほんの少しぐらいは、お婆ちゃんの肩の荷が下りると思ってたから…。
いつも、無理に貼り付いた笑顔で帰ってくるお婆ちゃんの役に立てると思っていたから…。
それなのに………。
、、、またなのか。
また私は余計な事をして、人を傷つけたのか…?
もう『お婆ちゃん』は………
もう『今のお婆ちゃん』は………
『元のお婆ちゃん』ではないのか………?
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マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。はい!これからも無理せずに頑張ってください!🌟、応援しまくります!💝 (11月23日 10時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» そう言って頂けれると嬉しいですです!!こちらこそボードでもよろしくです! (11月22日 20時) (レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。いえいえ!本当に最高の作品なのでこれからも無理せずに更新してほしいです!ボードの返事とかも遅めでもいいので仲良くしていきましょう!アヤッカーさん! (11月22日 16時) (レス) @page1 id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
h16ayakaアヤッカー(プロフ) - マニ。さん» マニ。さん!昨日と今日とコメントありがとうございます!面白いと言って頂けるだけで凄く励みになります!ボードの方も何から何まで…感謝。。また更新したら立ち寄って下さると幸いです! (11月22日 16時) (レス) id: fc0f964cc9 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - h16ayakaアヤッカーさん» ✉️。最初から読み直しました!やはり面白いです!あのアヤッカーさんボードの方に返事送ったので通知来てると思いますのでこれからも頑張ってください!🌟 (11月22日 15時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アヤッカー | 作成日時:2019年1月6日 0時